2014年10月18日土曜日

【西東詩集91】 Suleika


【西東詩集91】 Suleika


【原文】

WAS bedeutet die Bewegung?
Bringt der Ost mir frohe Kunde?
Seiner Schwingen frische Regung
Kühlt des Herzens tiefe Wunde.

Kosend spielt er mit dem Staube,
Jagt ihn auf in leichten Woelkchen,
Treibt zur sichern Rebenlaube
Der Insekten frohes Voelkchen.

Lindert sanft der Sonne Glühen,
Kühlt auch mir die heissen Wangen,
Küsst die Reben noch im Fliehen,
Die auf Feld und Hügel prangen.

Und mir bringt sein leises Flüstern
Von dem Freunde tausend Grüsse;
Eh noch diese Hügel düstern
Grüßen mich wohl tausend Küsse.

Und so kannst du weiter ziehen!
Diene Freunden und Betrübten.
Dort wo hohe Mauern glühen
Find’ ich bald den Vielgeliebten.

Ach! die wahre Herzenskunde,
Liebeshauch, erfrischtes Leben
Wird mir nur aus seinem Munde,
Kann mir nur sein Athem geben.



【散文訳】


この動きは何を意味するのか?
東風が、わたしに、喜ばしい知らせを持ってくるのだろうか?
その翼の新鮮な動きは
心臓の深い傷を冷たくする。


愛撫しながら、東風は、塵(ちり)と遊び
塵を狩って、追い立てる、軽い小さな雲の中で
安全な葡萄の蔓の葉叢(はむら)へと追い立てる
数々の虫の、喜びの群れを。

優しく、和らげるのは、太陽の輝きであり
それは、また、わたしの熱い頬を冷たくして
葡萄の蔓に、逃げながらも口づけして
野原と丘の上で、光り輝いている

そして、わたしには、その(東風の)微かな囁きは、運んで来る
その男の友(ハーテム)から、幾千もの挨拶を
まだこれらの丘が暗くなる前に
確かに、わたしに、幾千もの口づけが、挨拶する。

そして、このように、お前(東風)は、更に先へとお行きなさい!
友たちと、そして心の暗い者たちに尽くすがいいのです。
そこ、高い壁の輝くそこで
わたしは、直きに、たくさん愛されている者(ハーテム)を見つけるのです。

ああ!本当の真情の知らせ
愛の吐息、新たになった命
これらは、唯彼(たくさん愛されている者)の唇の中から生まれ
わたしには、唯彼の息だけが、これらを与えることができるのです。



【解釈と鑑賞】

この詩が、この『ズーライカの巻』での、ハーテムとズーライカの名前でやりとりされる一連の相聞歌の最後の歌です。

従い、この題名の意味するところは、ズーライカが歌うという意味です。

この詩の後、Suleikaという題名の詩がふたつありますが、これらは相聞歌ではなく、ハーテムが、ズーライカという名前の元に、その思いを歌う詩となっています。

Und so kannst du weiter ziehen!
Diene Freunden und Betrübten.
Dort wo hohe Mauern glühen
Find’ ich bald den Vielgeliebten.
そして、このように、お前(東風)は、更に先へとお行きなさい!
友たちと、そして心の暗い者たちに尽くすがいいのです。
そこ、高い壁の輝くそこで
わたしは、直きに、たくさん愛されている者(ハーテム)を見つけるのです。

とある第5連の意味は、この歌全体が東風に呼びかけられている体裁になっておりますから、その風が行き着くところまで行き着いて、普通に言うならば、地の果てまで行って、そこに至ったら、わが恋人、ハーテムがいるという意味でしょう。ズーライカの思いの広さ、果てのなさ、他方そうして、ハーテムの思いの広さ、強さ、果てのなさも示しているのです。





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