2014年5月24日土曜日

【Eichendorfの詩67】Liedesmut(歌心(うたごころ))



Eichendorfの詩67Liedesmut(歌心(うたごころ)) 

【原文】

Was Lorbeerkranz und Lobestand!
Es duftet still die Fruehlingsnacht
Und rauscht der Wald vom Felsenwand,
Ob’s jemand hört, ob niemand wacht.

Es schläft noch alles Menschenkind,
Da pfeift sein lust’ges Wanderlied
Schon übers Feld der Morgenwind
Und fraegt nicht erst, wer mit ihm zieht.

Und ob ihr all zu Hause sasst,
Der Frühling blüht doch, weil er muss,
Und ob ihr’s lest oder bleibenlasst,
Ich singe doch aus frischer Brust.


【散文訳】

月桂樹の冠と賞賛の地位が何だろう!
静かに、春の夜が薫っている
そして、森が、巌(いわを)の端からは、さやけき音を聞かせている
誰かがそれを聞かうが、誰も目覚めて居なからうが

まだ、すべての人の子たちは眠っている
すると、そこに、人の子の陽気な旅の歌の笛の音が聞こえて来る
既に野原を越えて、朝の風が吹いて来る
そして、その風は、誰がその風と一緒にやって来るのかを、最初に問ふことはない

そして、お前達皆が、家に在って、座していたかどうかを問はず
春は、何と言っても花盛りであり、何故なら春は咲かねばならないから
そして、お前達が書物を読まうが、読み止(さ)してをかうが
わたしは、新鮮な胸の内から声を出して歌ふだけなのだ


【解釈と鑑賞】

アイヒェンドルフという詩人が生きている場所を、そのまま歌った詩です。

第2連の「その風は、誰がその風と一緒にやつて来るのかを、最初に問ふことはない」といふ言ひ方には、神韻渺々と言つてもよいかも知れないやうな、何か非常に微妙なものを感じます。うまく言葉になりませんけれども。


歌心といふ題名から、第1連の第1行目を読むと、読者にも、そのこころも知られることでせう。

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