2014年5月17日土曜日

【Eichendorfの詩 67】Blonder Ritter(金髪の騎士)

【Eichendorfの詩 67】Blonder Ritter(金髪の騎士)

【原文】

Blonder Ritter, blonder Ritter,
Deine Blicke, weltschmerzdunkel,
Statt durch Helmes Eisengitter,
Durch die Brille gläsern funkeln.

Hinterm Ohre, statt vom Leder,
Zornig mit verwegner Finte
Ziehst du statt des Schwerts die Feder,
Und statt Blutes fliesset Dinte.

Federspritzeln, Ehr beklecken,
Ungeheueres Geschnatter!
Wilde Recken, wilde Recken,
Trampelt nicht die Welt noch platter.


【散文訳】

金髪の騎士よ、金髪の騎士よ
お前の視線は、世界苦に暗く
兜の鋼鉄の格子窓を通す代わりに
眼鏡を通して硝子のように、お前の視線は、火花が爆(は)ぜている。

お前の耳の後ろには、鐙(あぶみ)革(馬の上)からの代わりに
怒りで、大胆不敵な佯(よう)撃を使って
お前は剣の代わりに、筆を執り
そして、血の代わりに、インキが流れるのだ。

羽根ペンからインクが跳ね飛ぶこと、名誉を汚すこと
途方も無く、があがあと鳴くこと!
野生の英雄達を、野生の英雄達を
世界は踏みつけて、それ以上平たくするのじゃない。


【解釈と鑑賞】

この題名は、詩を読むと、詩人自身のことを言っていることがわかります。

詩人をひとりの騎士に譬えている。

第2連の「佯(よう)撃」とは、フェンシングや拳闘などで、打つと見せかける仕草をいうと辞書にはあります。

第3連の、ペンからインクが飛び散るという言葉と、その次の名誉を汚すということは、連想があります。この連想と飛躍の間に、詩人の苦労があるのです。

第3連の2行目を読むと、一寸自暴自棄な感情も混じっているように思います。

しかし、この詩を読んで改めて思ったことは、言葉は繰返されると、それだけである意味を備えるということです。
冒頭の金髪の騎士の繰り返し、第3連の野生の英雄の繰り返しです。

その者への呼びかけとも聞こえ、同時にまた読み進めると、文の中に収まっているのです。特に、後者などは。

0 件のコメント: