【西東詩集71】 Hatem2
【原文】
KOMM, Liebchen, komm! umwinde mir die Mütze!
Aus deiner Hand nur ist der Tulbend schön.
Hat Abbas doch, auf Irans höchstem Sitze,
Sein Haupt nicht zierlicher umwinden sehn.
Ein Tulbend war das Band das Alexandern
In Schleifen schön vom Haupte fiel,
Und allen Folgeherrschern, jenen andern,
Als Königszierde wohlgefiel.
Ein Tulpen ists der unsern Kaiser schmücket,
Sie nennens Krone. Name geht wohl hin!
Juwel und Perle! sei das Aug’ entzücket!
Der schönste Schmuck ist stets der Musselin.
Und diesen hier, ganz rein und silberstreifig,
Umwinde Liebchen um die Stirn umher.
Was ist denn Hoheit? Mir ist sie geläufig!
Du schaust mich an, ich bin so gross als Er.
【散文訳】
来るのだ、愛する者よ、来い!わたしに帽子を巻き付けるがよい!
お前の手からこそ、ムスリムの帽子は、美しい。
アッバースも、イランの一番美しい座位の上にいても
自分の頭(こうべ)が、これ以上優美に巻き付けるのをみなかっただろう。
一個のムスリムの帽子は、アレクサンダー大王の
頭(こうべ)から美しくリボンを垂らして、落ちた帯であった
そして、その後の支配者達にも、あのその他の支配者たちにも
王の装飾として、いたく気に入られたのだ。
一個のモスリムの帽子は、我々の皇帝を飾る帽子で
ひとは、それを王冠(クローネ)と呼んでいる。成る程、名前は体を表している!
宝石と真珠よ!眼が魅了されよ!
最も美しい飾りは、いつも綿紗(モスリーン)だ。
そして、ここにあるこれを、全く純粋で、そして銀色の線条を帯びたこれを
愛するものよ、額の周りに巻き付けてくれ
一体、陛下とは何か?わたしは、その称号のことは熟知しているのだ!
お前がわたしを見れば、わたしが彼と同じ位偉大なのだから。
【解釈と鑑賞】
これが、ここでHatemと題されて詠まれる長い歌の二つ目のまとまりです。
イスラム教徒があたまに巻くターバン様の被(かぶ)り物を主題に歌った詩です。
普通の人間の被るモスリムの帽子が、愛する者の手によって巻き付けられると、王者の王冠になると歌っています。
これは、以前の何と言う詩でありましたか、ズーライカとふたりで、世界を向こうに廻して、対等に世界と均衡をとるという詩がありましたが、そのこころを写していると思います。