【西東詩集49】 Hoechst Gunst(最高の恵み)
【原文】
Hoechste Gunst
Ungezähmt so wie ich war
Hab' ich einen Herrn gefunden,
Und gezähmt nach manchem Jahr
Eine Herrin auch gefunden.
Da sie Prüfung nicht gespart
Haben sie mich treu gefunden,
Und mit Sorgfalt mich bewahrt
Als den Schatz den sie gefunden.
Niemand diente zweien Herrn
Der dabei sein Glück gefunden;
Herr und Herrin sehn es gern
Dass sie beide mich gefunden,
Und mir leuchtet Glück und Stern
Da ich beide Sie gefunden.
【散文訳】
最高の恵み
わたしが無教養、不躾な人間であったころ
一人のお方を見つけ
そして、多年を経て、礼儀も弁(わきま)えたころ
今度は、一人の女主人を見つけた。
二人は試験を惜しまなかったので
わたしが忠実な人間であると知り
そして、慎重にわたしを護った
二人が見つけた宝として
誰もふたりの主(あるじ)に仕えなかった
そこで自分の幸福を見つけなかった者は。
二人の主人は、共にわたしを見つけたことを
喜んでいる
そして、わたしには、幸福と星が輝いている
わたしが、二人を見つけたからだ。
【解釈】
全く二人の主人の名前も書いていないので、この二人も無名であるほどに、それほどに、ゲーテにとっては大切な二人であったのでしょう。
このような深いこころを、わたしたちは古典のあちこちに見ることができます。いや、古人の言葉のというべきでしょうか。
わたしが今同類の例で思い出すのは、道元禅師が宋に渡って、寧波(にんぽう)の港に着いたとき、ある寺の典座(てんぞ)ー料理長ーが日本の椎茸を買いに来て、道元が一晩あなたと仏道について語りたいといったところ、笑って、このわたしの仕事のひとつひとつが仏道だと答えたこの僧の名前を、道元は後日その寺を尋ねているのでその典座に会ったことと思われますが、書き残していないことです。
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