【Eichendorfの詩 42】Letzte Heimkehr (最後の帰郷)
【原文】
Letzte Heimkehr
Der Wintermorgen glaenzt so klar,
Ein Wandrer kommt von ferne,
Ihn schuettelt Frost, es starrt sein Haar,
Ihm log die schoene Ferne,
Nun endlich will er rasten hier,
Er klopft an seines Vaters Tuer.
Doch tot sind, die sonst aufgetan,
Verwandelt Hof und Habe,
Und fremde Leute sehn ihn an,
Als kaem er aus dem Grabe;
Ihn schauert tief im Herzensgrund,
Ins Feld eilt er zur selben Stund.
Da sang kein Voeglein weit und breit,
Er lehnt' an einem Baume,
Der schöne Garten lag verschneit,
Es war ihm wie im Träume,
Und wie die Morgenglocke klingt,
Im stillen Feld er niedersinkt.
Und als er aufsteht vom Gebet,
Nicht weiss, wohin sich wenden,
Ein schöner Juengling bei ihm steht,
Fasst mild ihn bei den Haenden:
》Komm mit, sollst ruhn nach kurzem Gang.《―
Er folgt, ihn rührt der Stimme Klänge.
Nun durch die Bergeeinsamkeit
Sie wie zum Himmel steigen,
Kein Glockenklang mehr recht so weit,
Sie sehn im oeden Schweigen
Die Länder hinter sich verblühen,
Schon Sterne durch die Wipfel gluehn.
Der Fuehrer jetzt die Fackel sacht
Erhebt und schweigend schreitet,
Bei ihrem Schein die stille Nacht
Gleichwie ein Dom sich weitet,
Wo unsichtbare Hände baun―
Den Wandrer fasst ein heimlich Graun.
Er sprach: 》Was bringt der Wind herauf
So fremden Laut getragen,
Als hört ich ferner Ströme Lauf,
Dazwischen Glocken schlagen?《
》Das ist des Nachtgesanges Wehn,
Sie loben Gott in stillen Hoehn.《
Der Wandrer drauf:》Ich kann nicht mehr―
Ist's Morgen, der so blendet?
Was leuchten dort für Länder her?《
Sein Freund die Fackel wendet:
》Nun ruh zume letzten Male aus,
Wenn du erwachst, sind wir zu Haus.《
【散文訳】
最後の帰郷
冬の朝はかくも清澄に輝いている
一人の旅人が遠くからやって来る
霜が彼の体をゆすり、その髪は凝固している
美しい距離が彼に嘘をついたのだ
さて、ついに、ここで休みたいと思い
父の扉を叩く。
しかし、以前扉を開けてくれた者達は亡くなり
屋敷も財産も変わっている
そして、見知らぬ人々が旅人を見る
恰も墓の中から来たかのように
彼はこころの奥底で震撼する
直ちに、急いで郊外へ、野原へと向かう。
そこでは、見渡す限り、どんな鳥も歌っていなかった
旅人は一本の樹木に寄りかかった
美しい庭に雪が積もっていた
夢の中でのように思われた
そして、朝の鐘が鳴り響いたので
静かな野原で、旅人は膝まづいた。
そして、祈りから立ち上がるとき
どこへ向かうかはわからない
一人の美しい若者がそばに立っていて
旅人の手を優しく掴んで、こういった。
》一緒に来なさい、一寸行って、休むことにしましょう《
旅人は従う、声の響きが旅人を動かしているのだ。
さて、山々の孤独を通り
ふたりは、天へと向かうかのように、山を登る
鐘の響きも、もはや、これだけ来れば、ここまでは届かない
ふたりは、荒涼とした沈黙の中で
国々が背後で凋(しぼ)んで行くのを見る
既に星々が山頂を通って輝いている。
若者は、今や松明(たいまつ)を穏やかに
掲げ、そして沈黙して行進している
ふたりの影のあるところ、静かな夜が
丁度大伽藍のように拡がっている
そこは、目に見えない両手が築く場所
旅人を、密やかな恐怖が捉える。
若者は言った。》風は何をこの高みまで運んで来るのだろうか
かくも見知らぬ音を運んで来るとは
恰も遠い河の流れの音を聞いているかの如くだ
その音の中には、鐘の音が本当に混じっているのだろうか?《
》これは、夜の歌う風の流れだ
この鐘の音は、静かな高みで神を褒め称えているのだ。《
旅人は、続けてこう言った。》わたしはもはや判らない―
朝なのだろうか、こんなにまぶしいからには?
どんな国々が、あそこからこちらに向かって光を投げているのだろうか?
若者は松明を向けてこう言った:
》さて、最後の休息をとろう
お前が目覚めているならば、わたしたちは家に着いたのだ。《
【解釈と鑑賞】
これも、アイヒェンドルフらしい、不思議の詩です。
この現実をこのまま味わうのが良いと思います。
舞台は古典的ですが、しかし、全くsurrealsticな世界です。
特に、最後の一行が効いています。