2013年6月30日日曜日

Nachtigall(夜啼き鶯):第27週 by Theodor Storm(1817 - 1888)



Nachtigall(夜啼き鶯):第27週 by Theodor Storm(1817 - 1888)




【原文】

Nachtigall

Das macht, es hat die Nachtigall
Die ganze Nacht gesungen;
Da sind von ihrem süßen Schall,
Da sind in Hall und Widerhall
Die Rosen aufgesprungen.

Sie war doch sonst ein wildes Kind;
Nun geht sie tief in Sinnen,
Traegt in der Hand den Sommerhut
Und duldet still der Sonne Glut
Und weiss nicht, was beginnen.

Das macht, es hat die Nachtigall
Die ganze Nacht gesungen;
Da sind von ihrem Süßen Schall,
Da sind in Hall und Widerhall
Die Rosen aufgesprungen.


【散文訳】

夜啼き鶯

まただ、夜啼き鶯が
夜通し泣いていたが
すると、その甘い響きによって
すると、その響きと反響の中で
薔薇の花の蕾(つぼみ)がほころんだ。

夜啼き鶯という奴は、普通は唯の野生の子供なのだが
こうして、深く意識の中に入って来て
手の中に夏の帽子を持って
そして、静かに太陽の輝きに堪え
そして、何がこれから始まるかを知らないのだ。

まただ、夜啼き鶯が
夜通し泣いていたが
すると、その甘い響きによって
すると、その響きと反響の中で
薔薇の花の蕾(つぼみ)がほころんだ。

【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。


ドイツ文学史に名前の残る詩人です。

10代のトーマス•マンも、この詩人が好きでした。

冒頭のDas macht、最後の連の最初のDas machtが何を意味するかです。その議論を、この詩について英語圏で、しているサイトを見つけましたので、ご覧下さい。


Das machtを、わたしは、まただと訳しましたが、その意味は、夜啼き鶯が啼くと、薔薇の蕾がぽっと開くことをいっていると理解したからです。

夜啼き鶯の鳴き声と薔薇の花の蕾の開くことの関係がわからない冒頭で、Das machtと歌うことが、読者にスリルとサスペンスをもたらしています。

第2連の冒頭のsie(彼女)は、夜啼き鶯と解しました。上に引用した英語圏のページでは、これを何か実際の人間の女性のことを指していると理解している解釈があります。

それは、夜啼き鶯が手の中に夏の帽子を持っているという一行が不可思議だからでしょう。

わたしは、このsieは、やはり夜啼き鶯だと思います。その理由は、

Sie war doch sonst ein wildes Kind;

と、dochsonstがあるからです。

これは、明らかに最初の連の女性名詞、即ち夜啼き鶯を受けています。

とはいへ、夜啼き鶯が手の中に夏の帽子を持っているという一行が何を意味するのか、この第2連のその後に続く行の解釈も含めて、考えると、これを単純に夜啼き鶯を擬人化したのだととるのか、そうではなくて、そのままの意味としてとるのか、この二つの解釈になるでしょう。

形象(イメージ)の具体的で鮮やかな第2連です。


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