【西東詩集47-4】 無題4
【原文】
DEN Gruss des Unbekannten ehre ja!
Er sei dir wert als alten Freundes Gruss.
Nach wenig Worten sagt ihr Lebewohl!
Zum Osten du, er westwärts, Pfad an Pfad―
Kreuzt euer Weg nach vielen Jahren drauf
Sich unerwartet, ruft ihr freudig aus:
Er ist es! ja! da wars! als haette nicht
So manche Tagefahrt zu Land und See,
So manche Sonnenkehr sich drein gelegt.
Nun tauschet War um Ware, teilt Gewinn!
Ein alt Vertrauen wirke neuen Bundー
Der erste Gruss ist viele tausend wert,
Drum gruesse freundlich jeden der begruesst.
【散文訳】
見知らぬ者の挨拶を敬せよ!
それは、お前にとっては、古い友人の挨拶としての価値がある。
少ない言葉の後で、お前達は、お達者で!というがいい。
東へとお前は往き、その者は西へと行く、小道小道を踏み分けてー
多くの年月の後に、それに従って、お前達の道は思いがけずに交差すると、喜びを以てこう叫ぶがいいのだ:
あの者がいた!そうだ!あそこでだった!恰もかくも多くの日々の旅が、陸といい海といい、かくも多くの太陽の繰り返しが、その中にあったかの如くに。
こうして、物産が物産を交換し、利益を分けるがいいのだ!
古い信頼が新たな絆を産み出すのだー
それ故に、挨拶する者だれにでも、親しく挨拶をせよ。
【解釈】
観察の巻の最初の詩としての六つ目の詩です。
見知らぬ者の挨拶を敬せよ!
とは、実にいい一行です。格言になる一行です。
見知らぬものとの挨拶こそ、深い意義と意味がある。
日常の怠惰な挨拶こそを恐れよ。
70歳を過ぎて尚、このように歌うことのできるゲーテは、素晴らしい。