2013年6月30日日曜日

【西東詩集47-4】 無題4



【西東詩集47-4】 無題4


【原文】

DEN Gruss des Unbekannten ehre ja!
Er sei dir wert als alten Freundes Gruss.
Nach wenig Worten sagt ihr Lebewohl!
Zum Osten du, er westwärts, Pfad an Pfad―
Kreuzt euer Weg nach vielen Jahren drauf
Sich unerwartet, ruft ihr freudig aus:

Er ist es! ja! da wars! als haette nicht
So manche Tagefahrt zu Land und See,
So manche Sonnenkehr sich drein gelegt.
Nun tauschet War um Ware, teilt Gewinn!
Ein alt Vertrauen wirke neuen Bundー
Der erste Gruss ist viele tausend wert,
Drum gruesse freundlich jeden der begruesst.


【散文訳】

見知らぬ者の挨拶を敬せよ!
それは、お前にとっては、古い友人の挨拶としての価値がある。
少ない言葉の後で、お前達は、お達者で!というがいい。
東へとお前は往き、その者は西へと行く、小道小道を踏み分けてー
多くの年月の後に、それに従って、お前達の道は思いがけずに交差すると、喜びを以てこう叫ぶがいいのだ:

あの者がいた!そうだ!あそこでだった!恰もかくも多くの日々の旅が、陸といい海といい、かくも多くの太陽の繰り返しが、その中にあったかの如くに。
こうして、物産が物産を交換し、利益を分けるがいいのだ!
古い信頼が新たな絆を産み出すのだー
それ故に、挨拶する者だれにでも、親しく挨拶をせよ。



【解釈】

観察の巻の最初の詩としての六つ目の詩です。

見知らぬ者の挨拶を敬せよ!

とは、実にいい一行です。格言になる一行です。

見知らぬものとの挨拶こそ、深い意義と意味がある。

日常の怠惰な挨拶こそを恐れよ。

70歳を過ぎて尚、このように歌うことのできるゲーテは、素晴らしい。







【Eichendorfの詩 34-6】Wandersprueche (旅の箴言)


【Eichendorfの詩 34-6】Wandersprueche (旅の箴言) 

【原文】

Wandersprueche

       6

Ewig muntres Spiel der Wogen!
Viele hast du schon belogen,
Mancher kehrt nicht mehr zurück.
Und doch weckt das Wellenschlagen
Immer wieder frisches Wagen,
Falsch und lustig wie das Glück.


【散文訳】

永遠に愉快な、大波の遊び
お前は、既に数多くのひとびとを嘘を言って騙した身だ
その多くのひとたちは、もはや戻って来る事はない。
しかし、波が打ち寄せると
何度も何度も、新鮮な冒険心が目覚めるのだ
幸運のように、間違い(偽もの)であり、且つ陽気な具合に。


【解釈と鑑賞】

この詩は、全部で7つの詩からなる詩篇の六つ目の詩です。

第1行目の波は、実際の波ととってもよいでしょうし、第4行目にあるように、何かの周期性を以てやってくる意志という解釈もあるでしょう。

注目すべきは、この旅人の冒険心が、波に譬えられているほかに、それが偽ものであると、最後の行にあるように、歌われていることです。

偽の状態にあり、且つ陽気であること。

これが、旅することだというのです。




Nachtigall(夜啼き鶯):第27週 by Theodor Storm(1817 - 1888)



Nachtigall(夜啼き鶯):第27週 by Theodor Storm(1817 - 1888)




【原文】

Nachtigall

Das macht, es hat die Nachtigall
Die ganze Nacht gesungen;
Da sind von ihrem süßen Schall,
Da sind in Hall und Widerhall
Die Rosen aufgesprungen.

Sie war doch sonst ein wildes Kind;
Nun geht sie tief in Sinnen,
Traegt in der Hand den Sommerhut
Und duldet still der Sonne Glut
Und weiss nicht, was beginnen.

Das macht, es hat die Nachtigall
Die ganze Nacht gesungen;
Da sind von ihrem Süßen Schall,
Da sind in Hall und Widerhall
Die Rosen aufgesprungen.


【散文訳】

夜啼き鶯

まただ、夜啼き鶯が
夜通し泣いていたが
すると、その甘い響きによって
すると、その響きと反響の中で
薔薇の花の蕾(つぼみ)がほころんだ。

夜啼き鶯という奴は、普通は唯の野生の子供なのだが
こうして、深く意識の中に入って来て
手の中に夏の帽子を持って
そして、静かに太陽の輝きに堪え
そして、何がこれから始まるかを知らないのだ。

まただ、夜啼き鶯が
夜通し泣いていたが
すると、その甘い響きによって
すると、その響きと反響の中で
薔薇の花の蕾(つぼみ)がほころんだ。

【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。


ドイツ文学史に名前の残る詩人です。

10代のトーマス•マンも、この詩人が好きでした。

冒頭のDas macht、最後の連の最初のDas machtが何を意味するかです。その議論を、この詩について英語圏で、しているサイトを見つけましたので、ご覧下さい。


Das machtを、わたしは、まただと訳しましたが、その意味は、夜啼き鶯が啼くと、薔薇の蕾がぽっと開くことをいっていると理解したからです。

夜啼き鶯の鳴き声と薔薇の花の蕾の開くことの関係がわからない冒頭で、Das machtと歌うことが、読者にスリルとサスペンスをもたらしています。

第2連の冒頭のsie(彼女)は、夜啼き鶯と解しました。上に引用した英語圏のページでは、これを何か実際の人間の女性のことを指していると理解している解釈があります。

それは、夜啼き鶯が手の中に夏の帽子を持っているという一行が不可思議だからでしょう。

わたしは、このsieは、やはり夜啼き鶯だと思います。その理由は、

Sie war doch sonst ein wildes Kind;

と、dochsonstがあるからです。

これは、明らかに最初の連の女性名詞、即ち夜啼き鶯を受けています。

とはいへ、夜啼き鶯が手の中に夏の帽子を持っているという一行が何を意味するのか、この第2連のその後に続く行の解釈も含めて、考えると、これを単純に夜啼き鶯を擬人化したのだととるのか、そうではなくて、そのままの意味としてとるのか、この二つの解釈になるでしょう。

形象(イメージ)の具体的で鮮やかな第2連です。


2013年6月22日土曜日

【西東詩集47-3】 無題3


【西東詩集47-3】 無題3


【原文】

REITTEST du bei einem Schmied vorbei,
Weisst nicht wann er dein Pferd beschlaegt;
Siehst du eine Hütte im Felde frei,
Weisst nicht ob sie dir ein Liebchen hegt;
Einem Jüngling begegnest du schön und kühn,
Er überwindet dich künftig oder du ihn.
Am sichersten kannst du vom Rebstock sagen
Er werde für dich was Gutes tragen.
So bist du denn der Welt empfohlen,
Das übrige will ich nicht wiederholen.



【散文訳】

お前が、とある鍛冶屋の傍を騎行するとして
いつ鍛冶屋がお前の馬に蹄鉄を打つのか、お前は知らない
お前が、一個の小屋が野原に野天にあるのを見るとして
小屋がお前のために恋人を抱くかどうか、お前は知らない
お前はひとりの若者に出逢う、美しく勇敢な若者だ
この若者はお前を将来超えるか、またはお前がこの若者を超えるかだ。

最も確かなことには、お前は葡萄の木について言うことができる。
葡萄の木は、お前のために善きものを担う(運ぶ)ことだろう。

そうしたら、お前は世界に推薦されることになり
その他のことについては、わたしが繰り返していうことはない。



【解釈】

観察の巻の最初の詩としての五つ目の詩です。

小屋がお前のために恋人を抱くかどうか

とある一行の意味は、この小屋で恋人と逢い引きをするという意味だと思います。

そのようなことをこの小屋がお前に許すかどうか、お前は知らない。

葡萄の木というものが、単に葡萄のなる木であるということ以上に深い意味を持っていると考えることができます。

何か葡萄の木に関係する箴言、格言の類いがあるのかも知れません。

ご存知の方は、お教え下さい。







【Eichendorfの詩 34-5】Wandersprueche (旅の箴言)


【Eichendorfの詩 34-5】Wandersprueche (旅の箴言) 

【原文】

Wandersprueche

       5

Der Sturm geht lärmend um das Haus,
Ich bin kein Narr und geh hinaus,
Aber bin ich eben draussen,
Will ich mich wacker mit ihm zausen.


【散文訳】

嵐が大きな音を立てて家の廻りを行く
わたしは馬鹿ではないので、外へ出る
しかし、わたしは外に出るや
嵐と勇を鼓して、つかみ合いをしたいのだ。


【解釈と鑑賞】

この詩は、全部で7つの詩からなる詩篇の五つ目の詩です。

馬鹿ではないので、外へ出るという理屈が面白い。




Pan(牧神):第26週 by Moschos(紀元前2世紀 )



Pan(牧神):第26週 by Moschos(紀元前2世紀 




【原文】

Pan

Sehnend liebte Pan die nahe Echo; die Echo
Liebte den tanzenden Satyr; der Satyr gluehte fuer Lyda.

Aber so wenig die Echo für Pan, so wenig entbrannte
Für die Echo der Satyr und für den Satyr die Lyda.

Jegliches liebt' ein Andres; so viel es den Liebenden hasste,
Ward es gehasst und litt die Strafe der Wiedervergeltung.

Diese Lehren erzähl ich den Liebentfremdeten.  Liebet
Die euch liebe, so werdet ihr liebend wieder geliebet.



【散文訳】

牧神

憧れて、牧神(パンの神)は、傍にいる木魂(エコー)を愛した。木魂は踊るサテュルを愛した。サテュルはリーダのために燃えた。

しかし、木魂は牧神のためにかくも少なく燃え、サテュルは
木魂のためにはかくも少なく燃え、そしてリーダはサテュルのためにかくも少なく燃えた。

各人が互いに愛し合った。かくも多く、他の者が愛する者(男)を憎み、他の者が憎まれ、そして見返りの罰を受けた。

これらの教えを、わたしは愛に縁遠いものたちに語ろう。お前たちを
愛するものたちを愛せよ、そうすれば、お前達は愛しつつ、再び愛されることであろう。


【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。


古代ギリシャの文法家にして詩人です。

この詩を古代ギリシャ語からドイツ語に、ヘルダーが訳して、それを更にわたしが日本語に訳したものです。

原詩は、無題ですが、Pan(牧神)という言葉が最初の行にありましたので、それを題としてとりました。

以下にそれぞれの神話的な登場人物の写真を、Googleの画像検索から探して、掲げます。

パンの神(男性)



木魂(女性)



サテュル(男性)



リーダの写真はありません。

2013年6月15日土曜日

【西東詩集47-2】 無題2



【西東詩集47-2】 無題2


【原文】

UND was im Pend-Nameh steht
Ist dir aus der Brust geschrieben:
Jeden dem du selber gibst
Wirst du wie dich selber lieben.
Reiche froh den Pfennig hin,
Häufe nicht ein Gold-Vermächtnis,
Eile freudig vorzuziehn
Gegenwart vor dem Gedächtnis.



【散文訳】

そして、ペンド•ナメーの中にあるものは
お前の胸の中から出て(言葉で)書かれtものである。つまり、
お前自身が与えるその当の人を
お前は、お前自身のように、愛しなさい。
喜んで、その小銭(小さなお金)を渡しなさい
黄金の財産を積んではなりません
急いで記憶よりも現在を、喜んで大切にしなさい。




【解釈】

観察の巻の最初の詩としての四つ目の詩です。

そしてという接続詞で始まっているので、この連は、前の連の続きと理解することができます。

Pend-Namehというものがいかなるものであるか、怠惰なわたしの検索では不明でした。ご存知の方がいらしたら、お教え下さい。Googleの画像検索でみると、どうもイスラムの大切な書物のひとつのようです。





【Eichendorfの詩 34-4】Wandersprueche (旅の箴言)


【Eichendorfの詩 34-4】Wandersprueche (旅の箴言) 

【原文】

Wandersprueche

       4

Die Lerche gruesst den ersten Strahl,
Dass er die Brust ihr zünde,
Wenn träge Nacht noch ueberall
Durchschleicht die tiefen Gründe.

Und du willst, Menschenskind, der Zeit
Verzagend unterliegen?
Was ist dein kleines Erdenleid?
Du musst es ueberfliegen!


【散文訳】

雲雀たちが最初の光線に挨拶をして
光線が雲雀たちの胸に点火する、と
もし怠惰な夜がまだ至るところで
深い地上をこっそりと通っているならば、
と言っている。

そして、お前は、おやまあ、時間というものに
絶望しながら、負けているのかい?
お前の小っぽけな地上の苦しみは何なのか?
お前は、その苦しみを超えて飛ばなければならないのだ!


【解釈と鑑賞】

この詩は、全部で7つの詩からなる詩篇の四つ目の詩です。

雲雀、朝の光、時間を超える旅人の形象(イメージ)。



Die Loesung(解答、抹殺、発射):第25週 by Bertolt Brecht(1898 - 1956 )


Die Loesung(解答、抹殺、発射):第25週 by Bertolt Brecht1898 - 1956 




【原文】

Die Loesung

Nach dem Aufstand des 17. Juni
Liess der Sekretär des Schriftstellerverbands
In der Stalinallee Flugblaetter verteilen
Auf denen zu lesen war, dass das Volk
Das Vertrauen der Regierung verscherzt habe
Und es nur durch verdoppelte Arbeit
Zurueckerobern koenne. Waere es da
Nicht doch einfacher, die Regierung
Löste das Volk auf und
Wählte ein anderes?



【散文訳】

解答、抹殺、発射

6月17日の反乱の後に
作家同盟の書記は
スターリン通りにチラシを撒かせたが
そこには、こう書いてあった。国民は
政府の信頼を失った、
だからその信頼を二倍の労働で
取り戻せ、と。信頼が仮にあるとしても
しかし実際一層それだけ簡単ではないが、政府が
国民を抹殺し、そして
他の国民を選ぶというというのか?


【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。


ドイツの有名な作家です。



1953年6月23日に東ドイツ起きた庶民の反乱(デモ)を歌った詩です。

東ドイツ共産党のスターリン主義への反対、重工業重視政策のための食料の払底、物価の上昇など、戦前より一層貧しくなったことからの国民の反乱が起きました。そのWikipediaです。


それが、ソヴィエトに軍事力で鎮圧された、その写真です。


共産党というものは、いつも同じことをします。支那共産党の場合であれば、天安門事件、あるいは天安門の虐殺が、その同じ例です。このような愚かなものを生み出したのも、人間ではあります。

ドイツ統一後に発行された記念切手を掲げます。



ブレヒトのこの詩の題名は掛詞になっていて、この国民の問題の解決、問題提起への回答が、国民の抹殺であり、戦車による弾丸の発射であったということを皮肉っております。Die Loesungには、これらいづれもの意味があるのです。



2013年6月8日土曜日

【西東詩集47-1】 無題1



【西東詩集47-1】 無題1


【原文】

Lieblich ist des Mädchens Blick der winket,
Trinkers Blick ist lieblich eh er trinket,
Gruss des Herren, der befehlen konnte,
Sonnenschein im Herbst der dich besonnte.
Lieblicher als alles dieses habe
Stets vor Augen, wie sich kleiner Gabe
Duerftge Hand so hübsch entgegen dränget,
Zierlich dankbar was du reichst empfaenget.
Welch ein Blick! ein Gruss! ein sprechend Streben!
Schau es recht und du wirst immer geben.


【散文訳】

愛らしいのは、合図する乙女の眼差し
飲み助の眼差しは、飲む前ならば、愛らしい
命令することのできた主(あるじ)の挨拶
お前を思う、秋の太陽の輝き
こういったこと総てよりも、もっと愛らしいものを、わたしは持っている
いつも目の前に、小さな可愛らしい賜物の
匂い立つ手が、かくも美しく迫り来るさまを
おまえが最も豊かに受け取るものに、上品のこころで感謝するのだ
なんという眼差しであろうか!挨拶であろうか!もの言う努力であろうか!
きちんとそれをみるがいい、そして、お前は、いつも与え続けるがいい。


【解釈】

観察の巻の最初の詩としての三つ目の詩です。

ここからが、形式からみると、無題のひとつの長篇詩とみることができ、また無題の短編詩を幾つも連ねたとみることのできる詩群が始まります。

ここから、一連一連訳して参ります。

観察の巻の観察という言葉の意味の中には、恋愛も含まれているということを意味する詩だということになるでしょう。

若いときのように、分別を失う恋愛ではなく、年老いてこのように表現できるという、だからと言って、世間の分別とは無縁の、恋愛詩です。


Mitten im Leben(生のさなかに):第24週 by Guenter Grass(1927- )


Mitten im Leben(生のさなかに):第24週 by Guenter Grass1927- 




【原文】

Mitten im Leben

denke ich an die Toten,
die ungezählten und die mit Namen.
Dann klopf der Alltag an,
und übern Zaun
ruft der Garten: Die Kirschen sind reif!


【散文訳】

生のさなかに

わたしは死者達のことを考える
数えられない死者たちと、名前を持った死者たちのことを
すると、その日がドアを叩き
そして、垣根越しに
庭が叫ぶのだ:桜の木々が満開だ!


【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。


ドイツの作家(小説家)です。1999年にノーベル文学賞を授与されています。

ドイツでは、桜は5月に咲くのでしょう。

桜の満開の花と死者という取合せは、梶井基次郎の有名な短編を思わせます。桜の花と死者は、洋の東西を問わないということでしょうか。


【Eichendorfの詩 34-3】Wandersprueche (旅の箴言)


【Eichendorfの詩 34-3】Wandersprueche (旅の箴言) 

【原文】

Wandersprueche

       3

Was willst auf dieser Station
So breit dich niederlassen?
Wie bald nicht bläst der Postillion,
du musst doch alles lassen.



【散文訳】

この駅で、何をしようというのだ
お前は、腰を落ち着けて、定住しようというのか?
郵便馬車の馭者(ぎょしゃ)がじきに笛を吹かなくても
お前は、しかし、すべてを置き去りにしなければならないのだ。


【解釈と鑑賞】

この詩は、全部で7つの詩からなる詩篇の三つ目の詩です。

駅と駅馬車(郵便馬車)と、その馭者の吹く笛の音と。そうして、定住の拒否と旅することと。これらのことが4行で歌われております。

2013年6月1日土曜日

【Eichendorfの詩 34-2】Wandersprueche (旅の箴言)


【Eichendorfの詩 34-2】Wandersprueche (旅の箴言) 

【原文】

Wandersprueche

       2

Herz, in deinen sonnenhellen
Tagen halt nicht karg zurück!
Allwaerts froehliche Gesellen
Trifft der frohe und sein Glück.

Sinkt der Stern: alleine wandern
Magst du bis ans End der Welt―
Bau du nur auf keinen andern
Als auf Gott, der Treue hält.



【散文訳】

心臓(こころ)よ、お前の太陽の明るさの
日々の中に、留まっているなどというケチなことはするな!
至る所で、陽気な仲間に
陽気な者は出会い、そしてその幸せも。

星辰が沈む:孤独なものたちが旅をして遍歴する。
お前は、この世の涯まで行きたいのか
誠実を守る神以外の上のだれの上にも基礎をおいて、
建築してはならない。


【解釈と鑑賞】

この詩は、全部で7つの詩からなる詩篇の二つ目の詩です。

この世の涯まで行きたいのか?

行ってみたいものです。

わたしの好きなドイツの庭園に、シュヴェッツィンゲンの宮殿の庭園の一画があります。その庭園は、Ende der Welt、世界の終わり、世界の涯という名前の庭園で、実際に植物のトンネルのずっと向こうの奥に世界の涯の景色を見る事ができます。

これは、バロック様式の庭園ですが、アイヒェンドルフには、バロックの感覚が生きているということなのでしょう。





【西東詩集46】 Fuenf Andere(5つのその他のもの)



【西東詩集46】 Fuenf Andere(5つのその他のもの)


【原文】

Fuenf Andere

WAS verkürzt mir die Zeit?
 Taetigkeit!
Was macht sie unerträglich lang?
 Muessiggang!
Was bringt in Schulden?
 Harren und Dulden!
Was macht Gewinnen?
 Nicht lange besinnen!
Was bringt zu Ehren?
 Sich wehren!


【散文訳】

5つのその他のもの

何が、わたしの時間を短くするのだろうか?
 活動や行為が!
何が、時間を堪え難く長いものにするのだろうか?
 怠惰や無為が!
何が、負債(マイナス)にするのだろうか?
 じっとして動かないこと、そして忍耐が!
何が、利益をなすのだろうか?
 長く考えないことが!
何が、名誉をもたらすのだろうか?
 自分の身を護ることが!


【解釈】

観察の巻の最初の詩としての二つ目の詩です。

最初の詩の5つのものの、それ以外の5つのものについて歌っています。

確かに観察の詩です。

この後の詩は、その次の詩に至までの間、すべて無題で、延々と続く詩の、あるいは連の続く、詩の言葉の列、繋がりとなっています。

以後、この延々たる詩群は、ひとつづつ(或いは一連づつ)訳して参ります。


Nachtflug(夜間飛行):第23週 by Michael Krueger(1943 - )




Nachtflug(夜間飛行):第23週 by Michael Krueger1943 - 




【原文】

Nachtflug

Weil alle Flugzeuge verspätet landeten
und nicht mehr abheben durften,
kamen wir, ein vielsprachiger Rest,
in eine Maschine, die schon ausrangiert war.

Ich sass auf 34 B, in der ungliebten Mitte,
rechts von mir ein nachtschwarzer Engel,
der seelenruhig seinen Müll sortierte,
links ein Herr, der Platon las, im Original.

Rauchen war nicht verboten, auf Reihe 20
kam sogar eine Wasserpfeife zum Einsatz.
Im Gang wurdet Fussball gespielt, und vorn
In der ersten Klasse übte eine irische Band

das Requiem von Verdi. Auch ich habe mir
meinen Lebensabend anders vorgestellt,
sagte die müde Stewardess und bot Zeitungen an
vom vergangenen Jahr. Der Pilot lächelte

im Schlaf. Wer kommt schon an, wo er hinwollte,
brummte der Engel, und Platon nickte ein.
Gegen Morgen, als auch mir die Augen zufielen,
gingen wir in die Luft.



【散文訳】

夜間飛行

すべての飛行機が遅れて着陸したので
そして、もはや飛ぶことを許されなかったので
わたしたち、お喋りの残りの一団は、
既に飛行スケジュール外になっていた飛行機の中に乗り込んだ。

わたしは、34B、不人気のまん中の席に坐っていて
わたしの右には、漆黒の夜の天使がいて
こころ安らかに、自分のゴミを分別しており
左には、ひとりの紳士がいて、原書でプラトンを読んでいた。

喫煙は禁止されていなかったので、列20には
何と言うことか、水煙草のパイプまでが投入された。
通路では、サッカーが行われ、そして前方の
一等席では、アイリッシュ(アイルランド人)の楽団が練習をしていた。

ヴェルディの鎮魂歌だ。わたしも
わたしの人生の黄昏を、違った風に想像したわ
と、疲れたスチュワーデスが言って、新聞を寄越してくれたが
古新聞だった。パイロットも微笑していた。

睡りの中で。誰が既に到着し、その者がどこそこへ行きたいのだ
と、天使がぶつくさと言って、プラトンが頷(うなず)いて、首肯した。
朝方になって、わたしの眼もつむったときに、わたしたちは離陸した。



【解釈と鑑賞】


この詩人のWikipediaです。生年が同じなので、多分このひとだろうと思います。


ドイツの詩人です。

この世には無い飛行機、乗客達。