2012年8月5日日曜日

【ルイス•キャロルの詩1】A Baccanalian Ode(バッカス風の頌歌)


【ルイス•キャロルの詩1】A Bacchanalian Ode(バッカス風の頌歌)

【原文】

A Bacchanalian Ode

Here's to the Freshman of bashful eighteen!
Here's to the Senior of twenty!
Here's to the youth whose mustache can't be seen!
And here's to the man who has plenty!
Let the men Pass!
Out of the mass
I'll warrant we'll find you some fit for a Class!
Here's to the Censors, who symbolize Sense,
Just as Mitres incorporate Might, Sir!
To the Bursar, who never expands the expense!
And the Readers, who always do right, Sir!
Tutor and Don,
Let them jog on!
I warrant they'll rival the centuries gone!
Here's to the Chapter, melodious crew!
Whose harmony surely intends well:
For, though it commences with "harm", it is true,
Yet its motto is "All's well that ends well!"
"Tis love, I'll be bound,
That makes it go round!
For "In for a penny is in for a pound!"
Here's to the Governing Body, whose Art
(For they're Masters of Arts to a man, Sir!)
Seeks to beautify Christ Church in every part,
Though the method seems hardly to answer!
With three T's it is graced -
Which letters are placed
To stand for the names of Tact, Talent, and Taste!


【散文訳】

バッカス風の頌歌

こちらが、内気な18歳の新入生の諸君たちであります!
こちらが、20歳の先輩達であります!
こちらが、口髭もない若者達であります!
そして、こちらが、口髭を一杯生やしている男であります!
男どもは、あっちへ行ってしまえ!
この人ごみの中から外へ出て行け
君にぴったりの教室があること請け合いだぜ!
こちらが、検閲官(センサー)諸君だ、いいセンス(感覚)を象徴して表しているんだ
偉い僧侶の被る僧帽が権力を持っているのと同じさ、はい、閣下!
これが、会計管理の長、決して経費を大きくしない人!
そして、これが准教授、いつも正しい行いの人達、はい、閣下!
これが、講師陣
講師陣は、ゆっくりと走らせておけばいいさ!
以上のお歴々は何世紀にもわたって競争して行くこと請け合いだ!
こちらが、司教座聖堂参事会のお歴々で、美しい旋律豊かな一座だ!
その唱和の声は、間違いなく、よくその意図が届くよ:
というのも、その声は、確かに「それは害になる」と始まり、それは本当だが、
しかし、そのモットーは、「終わりよければ、すべてよし」だからだ。
「それは愛だ、わたしが縛られているのは」
という考えが、万事順調のもとさ!
というのも、「やりかけたことは、無理無体でも何がなんでもやり通せ!」という考えだからさ
こちらが、事務管理局のお歴々、その技芸は
(というのも、一個の人間として見ると、みな文芸学修士だからね、はい、閣下!)
その技芸は、このクリスト•チャーチをどの部分においても美しくすることを求めているのだ、
といっても、その方法は色々あって、ほとんど答えられないように見えるがね!
3つのTで、飾り立てるのさ
その文字がおかれて
意味するのは、世渡りの才覚(Tact)、才能(Talent)、そして、分別(Taste)さ!


【解釈と鑑賞】

何故か高校生の頃に、不思議の国と鏡の国のアリスの両方入ったペンギンブックスを買って以来、この作家のことがいつも気になり、気がつくと、ルイス•キャロルに関するドイツ語の本であったり、不思議のアリスに出て来る料理の本であったり、またハードカバーの立派な註釈本であったりと、大枚をはたいて、そういう本を買っても、全然惜しいという気持ちがないのである。

つまり、わたしはルイス•キャロルという作家が好きなのだ。ファンなのである。

このひとが、詩もものしたということを知って、今頃知るというのも相当怠惰なファンであるのだが、その詩集を買い、アルファベット順に詩を並べている詩集であるので、こちらもその順序でひとつひとつ訳してみることにした。

これは、専ら、一体このひとはどういう人なのかという興味と関心に発したことである。この面白い人間をもっと深く知りたいという欲求である。

詩についても、全く予備知識無しで、読むことになる。全く無知の状態で詩に向かいます。

ということで、今回は、その始めの詩、バッカス風の頌歌と題した詩です。

どうも、これは大学に新入生が入ってきたときの詩です。詩の中に出て来るChris Churchは、Wikipediaによれば、キャロルが研究をして、勤めていた学校の名前。次のURLアドレスへ行くと、この学校の写真が載っています。このような研究機関で、キャロルは仕事をしていたのです。

http://www.chch.ox.ac.uk

新入生に対して、ルイス•キャロルが、あるいはこの詩の歌い手が、学内のそれぞれの職域のひとたちを紹介して、それぞれ何をするひとなのかを説明するという詩です。

まあ、この詩は、風刺のこころもある、といっても徹底的にこき下ろしているわではない、ある品格を維持しながら、風刺している頌歌ということになるでしょう。

こうしてみると、バッカス風のという形容詞を冠したのは、新入生の歓迎を祝って、羽目を外して歌った歌という意味なのでしょう。





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