2014年12月28日日曜日

Neujahr(新年):第1週 by Harald Weinrich(1927 ー )


Neujahr(新年):第1週 by  Harald Weinrich(1927 ー    )





【原文】

Alle Voegel verreist, von Amsel bis Star.
Eis und Schnee. Nur ein Spatz, was will er?
Schickt dieses Haiku/für dich zu Neujahr,
online/Der Wind wird stiller.


【散文訳】

すべての鳥は、旅に出てゐる、黒歌鳥(くろうたどり)から椋鳥(むくどり)に至るまで
氷と雪。一羽の雀だけがゐる、彼奴(あいつ)は何をしたいのだ?
この俳句を送つてくれ/新年の、お前のために、
オンラインで/風も段々と静かになつてゐる。


【解釈と鑑賞】


この詩人の、Wikipediaです。ドイツ語と英語のWikiがあります。ドイツの詩人です。




1927年、Kiel、キールの生まれとありますので、今年(2015年)88歳の詩人です。

この詩が、今年一年最初の、この、わたしが毎週週末に訳すこの詩のカレンダーの最初の詩です。

今年のこのカレンダーは53週の詩がありますので、今年は53週を、わたしたちは経験するわけです。(さうして多分、あっというまに一年が過ぎ去ってしまうのでせう。)

黒歌鳥の写真です。




また、椋鳥の写真です。




最後の二行は、これは、俳句のつもりなのでせう。

しかも、onlineなどといふ言葉も入ってゐて、何かこの詩人の若さをおもはせます。


さて、この詩人のドイツ語のWikiを読みますと、非常に面白いことが書いてありました。

それは、テキストの読み方についてです。テキストを単に従来の文法の規則に従って読むのではなく、contextとの関係で、具体的なテキストの読み方を説いてゐる。このときに、この詩人はその文法をTextgrammatik、テキスト文法と命名してをります。そして対話としてテクストを読むのだといってをります。

間違ひなく、話法(mode)を論じてゐると思い、今ドイツ語圏のアマゾンに行って、その書籍を検索しましたところ、やはりtempus(時制)を論じた書物を、Tempustheorie(時制の理論)と題して刊行してをります。その他、非常にこれら一連のことに関係の深い以下の書物がありますので、ここに名前を挙げて、後日の備忘と致します。

1。Lethe.Kunst und Kritik des Vergessens(1997):忘却の技術(藝術と批評)
2。Textgrammatik Der Deutschen Sprache(2007):ドイツ語のテキスト文法
3。Knappe Zeit: Kunst und Oekonomie des befristeten Lebens(2004):短い時間:期限のある人生の技術(藝術)と経済(節約)
4。Tempustheori(2014):時制理論
5。Linguistik der Luege(2006):嘘の語学(嘘の比較言語学)
6。Tempus: Besprochene und erzählte Welt(2001):時制:話された、そして物語られた世界
7。Wie zivilisiert ist der Teufel?: Kurze Besuche bei Gut und Böse(2007):悪魔はだうやって文明化されてゐるのか?:善と悪を一寸訪問する
8。Vom Leben und Lesen der Tiere: Ein Bestiarium(2008):動物の生と読書:動物詩
9。Über das Haben: 33 Ansichten(2012):所有について:33の意見
10。Sprache, das heisst Sprachen: Mit einem vollständigen Schriftenverzeichnis des Autors 1956-2005(2006):言語、即ち複数の言語

これは、どなたかがお訳しになつたらよいと思ひます。今の日本人の頭にすつかり抜け落ちているものを、すべて拾ひ集めてくれてゐるように、これらの題名を見ると、おもひます。わたくしも読んでみやうとおもひます。都度感想をこのブログに上梓します。

2015年の初めに、このやうな詩人に出会ふとは、思ひもかけませんでした。何かよき新年となりさうな予感がゐたします。







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