2014年12月8日月曜日

九谷雉の最近の詩を読んで驚く



Midnight Pressのウエッブ季刊誌『Midnight Press』が発行された。次のURLです。


この冒頭に、九谷雉の詩が掲載されてゐる。久々に触れるこの詩人の詩であるが、正字正仮名で書いてゐることに驚く。

この詩人が日本文学の研究者であることは旧知のことでしたが、しかし自分の言葉の世界に文字の書き方として、この歴史的伝統的正統的な文字を使つて書き始めたといふことは、素晴らしいことだと思ふ。

これは、日本語の詩人の世界に何かが起きてゐることを示している。大東亜戦争敗戦後70年が経つて、さうして2011年3月11日のあの大地震と大津波が来て日本の戦後の歪な思考空間、歪な言論空間が破砕されて、その地軸が大きく動いてから、かういふ時代が来たといふことなのだと思はれる。


かうしてみると、夏の思ひ出という、夏といふ言葉を含むこの題名の詩の冒頭第一行目が、「監視者の心臓のひだをめくつて」とあるやうに、監視者という言葉で始めることが、誠に時宜にかなった興味深いことだと思はれる。

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