2014年12月7日日曜日

【西東詩集97】 Geheimschrift(秘密の文字)



【西東詩集97】 Geheimschrift(秘密の文字)


【原文】

LASST euch, o Diplomaten!
Recht angelegen sein,
Und eure Potentaten
Beratet rein und fein.
Geheimer Chiffren Sendung
Beschäftige die Welt,
Bis endlich jede Wendung
Sich selbst ins Gleiche stellt.

Mir von der Herrin Süße
Die Chiffre ist zur Hand,
Woran ich schon geniesse
Weil sie die Kunst erfand.
Es ist die Liebesfülle
Im lieblichsten Revier,
Der holde, treue Wille
Wie zwischen mir und ihr.

Von abertausend Blüten
Ist es ein bunter Strauss,
Von englischen Gemüten
Ein vollbewohntes Haus;
Von buntesten Gefiedern
Der Himmel übersaet,
Ein klingend Meer von Liedern
Geruchvoll überweht.

Ist unbedingten Strebens
Geheime Doppelschrift,
Die in das Mark des Lebens
Wie Pfeil um Pfeile trifft.
Was ich euch offenbaret
War längst ein frommer Brauch,
Und wenn ihr es gewahret,
So schweigt und nutzt es auch.


【散文訳】


外交官どもよ、本当にお前たちの気にかけるがいい!
そして、お前たちの君主たちに
純粋に、そして繊細に、こう助言するがいい。
秘密の符牒の送付が
世界を忙しくさせたのだ
遂には、どの言い廻しもが
整列するまで。

甘い恋人である主人(女性)から来た
その符牒は、わたしの手中にあり
それを、わたしは既に味わっている
何故ならば、彼女がその技術を発明したのだから。
それは、愛の充溢であり
最も愛する管区(猟区)の中にある
優しく、忠実な意志である
わたしと彼女の間にあるような

繰り返される幾千もの花盛りのうちの
それは、色彩豊かな花束であり
英国人の心地よさのある
一軒の満室の家である。何故ならば、
最も色彩豊かな羽毛をとって
天国がそれを撒き
香り一杯に吹き渡る
歌という歌が響き渡る海なのだから。

どうしてもそうせざるを得ない、そうしたいという努力なのだ
秘密の二重の文字は
その文字は、生命の髄の中に
矢が矢を番(つが)えるように、次々と命中するのだ。
わたしが、お前たちに開示したものは
とっくのむかしに、敬虔な慣例であったものだ
そして、もしお前たちが、それを認めるならば
沈黙せよ、そして、それを実際に利用するのだ。


【解釈と鑑賞】

政治家であるゲーテらしい第1連です。

何故ならば、外交官も暗号を使うからです。この詩の題名を、暗号と訳しても、よいと思います。

誰に読まれても構わないように、二重の意味をもたせた語彙を使って恋人とやりとりすることは、実に秘密の快楽であったことでしょう。

政治家であったゲーテのもとに届けられる、この恋人からの手紙は、ヨーロッパの世界の常で(それに他の文明圏でもそうでしょうが)事前に開封されて検閲を受けていたのではないかと思います。




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