Die Kalenderfrau(カレンダー夫人):第52週 by Sabine Lange(1953 ー )
【原文】
Die Frau
die Kalender bringt
gibt mir den Mut zürueck
den wieder ich verloren hab
die Frau bedeutet Glück
Die Garantie fürs nächste Jahr
hab ich nun in der Hand
ich häng schwarz auf weiss und wahr
die Hoffnung an die Wand
【散文訳】
この夫人は
カレンダー(暦)が運んで来るのだが
わたしに勇気を返してくれる
わたしが再び失った勇気を
この夫人は幸福を意味するのだ
来年に対する保証を
わたしは、こうして手中に収め
わたしは、黒白明瞭なる印刷物として、そして本当に
希望を壁に掛けるのだ
【解釈と鑑賞】
この詩人の、Wikipediaはありません。
1953年の生まれとありますので、今年61歳の詩人です。
この詩が、今年一年最後の、この、わたしが毎週週末に訳して来たこの詩のカレンダーの最後の詩です。
はや、12ヶ月52週が過ぎ去ったのです。
この詩を読みますと、やはりドイツ語の世界の、中世以来の言語感覚が脈々と生きていることが判ります。
それは、カレンダー(暦)を一人の夫人に譬(たと)えているからです。
Frau Kalenderというべきところでしょう。同時にわたしは、中世のドイツに生きていたFrau Minne(愛の婦人)を思い出します。
言葉が、その意味が、一個の生きた概念として社会の中に生きているということです。
この事情は、普段わたしたちは意識しておりませんが、わたしたち日本語の日常にも豊かに生きているのです。
詩が生きている場所は、そこなのです。
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