gedicht fuer eine fliege(ある蠅のための詩):第6週 by Kurt Marti(1921- )
【原文】
gedicht fuer eine fliege
unzeitig
[draussen faellt schnee]
ist in der stille
des nächtlichen Zimmers
eine fliege erwacht
blau schimmernd
im gelben licht
einer reispapierlampe
surrt sie aufab aufab
vor buecherregelaen
ja und
[so höre ich fragen]
was willst du uns sagen damit?
nichts nichts:
ich schreibe das auf
fuer die fliege
【散文訳】
ある蠅のための詩
時ならずして
[外では雪が降っている]
夜の部屋の
沈黙の中に
ある蠅が目覚めた
青く輝きながら
藁紙のランプの
黄色の光の中で
その蠅は、唸りながら上下し、上下する
本棚の前で
そうだ、そして
[そう問うのが聞こえたのだ]
お前は、それで何をわたしたちに言いたいのだ?
何もない、何もない:
わたしは、それを書き留める
蠅のために
【解釈と鑑賞】
この詩人のWikipediaです。
これを読むと、高校でデュレマットと同級生でした。その後大学へゆき、社会に出ての職業は、牧師。スイス生まれの、スイスの詩人です。
何と言うことのない詩のようですが、何故か非常にこころ惹かれる詩です。
外は雪。静かな世界。静かな部屋の中。そして、夜。藁紙のランプとは多分質素なランプなのでしょう。そのランプの光の中を飛ぶ蠅。これは、そうすると、冬の蠅ということになります。弱々しく飛ぶ冬の蠅。それでも、ぶんぶんと羽音を立てて、昇りつ、降りつしている。
孤独な蠅と孤独な人間の対話。
それを書き留めたのが、この詩だということになります。
こうしてみると、至る所に、詩作の契機があることを知ります。
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