【Eichendorfの詩 20】Jahrmarkt (歳の市)
【原文】
Jahrmarkt
Sind's die Häuser, sinds die Gassen?
Ach, ich weiss nicht, wo ich bin!
Hab ein Liebchen hier gelassen,
Und manch Jahr ging seitdem hin.
Aus den Fenstern schoene Fraun
Sehn mir freundlich ins Gesicht,
Keine kann so frischlich schauen,
Als mein liebes Liebchen sicht.
An dem Hause poch ich bange―
Doch die Fenster stehen leer,
Ausgezogen ist sie lange,
Und es kennt mich keiner mehr.
Und ringsum ein Rufen, Handeln,
Schmucke Waren, bunter Schein,
Herrn und Damen gehen und wandeln
Zwischendurch in bunten Reihn.
Zierlich Buecken, freundlich Blicken,
Manches fluecht'ge Liebeswort,
Haendedruecken, heimlich Nicken―
Nimmt sie all der Strom mit fort.
Und mein Liebchen sah ich eben
Traurig in dem lust'gen Schwarm,
Und ein schöner Herr daneben
Führt sie stolz und ernst am Arm.
Doch verblasst war Mund und Wange,
Und gebrochen war ihr Blick,
Seltsam schaut' sie stumm und lange,
Lange noch auf mich zurück.―
Und es endet Tag und Scherzen,
Durch die Gassen pfeift der Wind―
Keiner weiss, wie unsre Herzen
Tief von Schmerz zerrissen sind.
【散文訳】
歳の市
家々なのだろうか、小路なのだろうか?
ああ、わたしは、自分がどこにいるのかを解らない
恋人を、ここに置き去りにしてしまった
そして、それ以来、幾年も過ぎ去った。
窓々からは、美しい女性たちが
わたしの顔を親しげに見る
どの女性も、それほど新鮮には見る事ができない
わたしの愛する恋人が見るようには。
その家の傍を通ると、わたしは不安で胸が高鳴る
しかし、窓々は、虚しいままだ
彼女が出て行ってから、長い間が経っている
そして、誰も、わたしのことを、もはや知らない。
そして、周囲には、叫び声、商い
装飾の品々、多彩な輝き
紳士と淑女が、行き、そして、逍遥している
多彩な列の中を通り抜けて
飾り立てて背中を曲げること、親しく見ること
幾多の、一瞬の恋の言葉
握手、密やかな頷(うなづ)き
彼女のすべてを、嵐が連れて、行ってしまう。
そして、わたしの恋人を、わたしはまさしく見た
陽気な雑踏の中に、悲しげに
そして、美しい紳士が、その横にいて
彼女を、誇らしげに、そして真剣に、腕をとって導いている。
しかし、唇と頬は、青ざめて
そして、彼女の眼差しは、虚ろだった
奇妙なことに、彼女は沈黙して、そして長いこと見たのだ
長いこと、依然として、わたしの方を振り返って
そして、昼間と冗談が終わり
小路を通って、風が笛を吹く
だれも、わたしたちのこころが、どのように
深く苦しみに引き裂かれているのかを知らない。
【解釈と鑑賞】
歳の市という、歳の終わりのクリスマスの陽気な御祭りの場所にいる、孤独な、恋人とわかれた男の心情と姿を歌った詩です。
いつも、アイヒェンドルフの恋は、何故か引き裂かれて、一緒に幸せになることがありません。
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