2013年2月24日日曜日

【西東詩集34】 Versunken(溺れる)



【西東詩集34】 Versunken(溺れる)


【原文】

Versunken

VOLL Locken kraus ein Haupt so rund!―
Und darf ich dann in solchen reichen Haaren
Mit vollen Händen hin und wider fahren,
Da fühl ich mich von Herzensgrund gesund.
Und küss ich Stirne, Bogen, Auge, Mund,
Dann bin ich frisch und immer wieder wund.
Der fünfgezackte Kamm wo sollt' er stocken?
Er kehrt schon wieder zu den Locken.
Das Ohr versagt sich nicht dem Spiel,
Hier ist nicht Fleisch, hier ist nicht Haut,
So zart zum Scherz so liebeviel!
Doch wie man auf dem Köpfchen kraut,
Man wird in solchen reichen Haaren
Für ewig auf und nieder fahren.
So hast du, Hafis, auch getan,
Wir fangen es von vorne an.


【散文訳】

溺れる

ひとつの頭(こうべ)が、ちじれた巻き毛でふさふさと、かくも丸みを帯びているとは!
そして、それならば、そのような豊かな髪の毛の中に入って
両の手一杯に、あちらこちらへと、行く事をゆるされていて
そうすると、わたしは、こころの底から、健康であるのを感じる。
そして、わたしは、額、眉、眼、唇に接吻をし
すると、わたしは、新しく、そしていつも繰り返し傷つくのだ。
五つの歯のある櫛笥(くしげ)、そこで詩人は動けなくなるというのだろうか?(そんなことはない)
彼は既に再び巻き毛に戻って行くのだ。
耳は、この遊びを拒みはしない
ここには、肉もなければ、肌もないのだ
かくも戯れに柔らかく、かくも愛に満ちている!
しかも、この可愛らしい小さな頭(こうべ)を掻くほどに
そのような豊かな髪の中で
永遠に、行ったり来たりすることになるのだ。
このように、ハーフィスよ、お前も為したのだ
我等は、それを、最初から始めることにしよう。


【解釈】

前の詩を受けて、いよいよ本格的に、愛の詩が歌われています。

肉もなければ、肌もないのだ

という一行は、老齢のゲーテの真情でありましょう。

年齢にも拘らず、女性の豊かな髪の毛に手を差し入れて、掻くということは、たまらなくエロティックで、心地よいことなのです。

註釈不要の詩であると思います。


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