2013年2月6日水曜日

【Eichendorfの詩 21】In der Fremde (異郷にて)


【Eichendorfの詩 21】In der Fremde (異郷にて) 

【原文】

In der Fremde

Ich hoer die Baechlein rauschen
Im Walde her und hin,
Im Walde in dem Rauschen
Ich weiss nicht, wo ich bin.

Die Nachtigallen schlagen
Hier in der Einsamkeit,
Als wollten sie was sagen
Von der alten, schönen Zeit.

Die Mondesschimmer fliegen,
Als saeh ich unter mir
Das Schloss im Tale liegen,
Und ist doch so weit von hier!

Als muesste in dem Garten
Voll Rosen weiss und rot,
Meine Liebste auf mich warten,
Und ist doch lange tot.


【散文訳】

異郷にて

わたしは、小川たちが潺湲と流れる音を聞いている
森の中に、あちらから、そちらへと
森の中で、潺湲たる音の中で
わたしは、わたしがどこにいるのかを知らない。

夜啼き鶯たちが、羽を打つ
ここ、孤独の中で
恰もそれらが言っているかのように
古い、美しい時代についての何かを。

月の輝きが飛んでいる
恰もわたしが、わたしの下に
谷に城が在るのをみるかのように
そして、その城は、実際確かに、ここからはかくも遠いのだ!

恰も庭の中で
薔薇が、白く、そして赤く、一杯に咲いていて
わたしの恋人が、わたしを待っていなければならないかの如くに
そして、恋人は、実際確かに、ずっと昔に死んでいるのだのに。


【解釈と鑑賞】

このような詩を読むと、今までの詩の中にも歌われていた小川のせせらぎも、森も、夜啼き鶯も、月の輝きも、庭も、城も、谷もなにもかも、異郷を歌うためだけにあったのだと思わずにはいられません。

どの連にも、恰も~の如くにという接続法II式、英語でいう非現実話法が使われていて、異郷の感じ、この世のことではない感じが強く致します。

恋人もまた死者であり、この世のものではない。しかし、死んでいるという事実だけが、現在形で書かれております。何か酷く無惨な感じのする、残酷な感じのする詩です。

アイヒェンドルフの詩や深し。

0 件のコメント: