日本の詩人の豊かさについて
今、安部公房が10代で読み耽った詩人、リルケの著した『若き詩人への手紙』を読んでいる。
その3つめの手紙(1903年4月23日付)、イタリアのピサの近傍のViareggioという場所から出したリルケの手紙があります。
その最後の文面は、次のようになっています。
最後に、わたしの本についてですが、あなたにすべての本をお送りしたいと本当に思っているのですし、そうすれば、貴方も喜んで下さることでしょう。しかし、わたしは貧しく、そして、わたしの本は、一度出版されると、わたしのものではなくなるのです。わたしは、自分で買う事もできません。そして、よくそうしたいと思うように、それらの本に対して愛するものを証明してくれる人々に差し上げたいと思っています。
それゆえに、わたしは、一枚の紙切れに、一番最近出版された本(一番新しいので、12か13冊が公開されていますが)の題名と(そして出版社名)を書き留めて、そしてあなたに、折があれば、どうかそれを註文して下さることをお任せしなければならないのです。
わたしの本が、あなたの許にあることを願っています。
お元気で。
ライナー•マリーア•リルケ
わたしは、日本の詩人達の習慣をみて、驚いたことは、みなお互いに自分の詩集を無料で配付することであった。
日本の詩人は、豊かなのである。これは、あらためて、リルケのこの手紙を読んで、思ったことなので、備忘のためにも、書いておきたい。
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