第39週: PUK (通信セキュリティの秘密の番号) by Albert Ostermaier (1967 - )
【原文】
PUK
ich nehme dich ungeschminkt & sags
dir ins Gesicht ich lieb dich wie
du bist drum Kleid ich dich in Worte
ein & nehme sie dann zurück & rück
dir mit der Wahrheit auf den Leib
denn die ist nackt & doch geteilt
am schoensten
【散文訳】
PUK
ich nehme dich ungeschminkt & sags
dir ins Gesicht ich lieb dich wie
du bist drum kleid ich dich in Worte
ein & nehm sie dann zurück & rück
dir mit der Wahrheit auf den Leib
denn die ist nackt & doch geteilt
am schoensten
わたしはお前を、素面(スッピン)で取り&
お前の顔に言う、わたしはお前を愛していると、丁度
お前がそれ故に衣装であるように、わたしはお前を言葉の衣装を
着せ&わたしは次に言葉を取り返して&
お前の体の上に、真理を以て、ぐいっと動かす
何故ならば、真理は裸であり&しかし分かれているからだ
最も美しい姿をして
【解釈と鑑賞】
この詩人は、ミュンヘン生まれのドイツの詩人です。次のURLアドレスがあります。
http://de.wikipedia.org/wiki/Albert_Ostermaier
PUKとは、Googleのテクスト検索をすると、PUKとうのは、どうも携帯電話やスマートフォンの通信のためのセキュリティの番号のようです。
このPUKは、記号としては&で表されています。この&は、実際の記号は一寸キーボードにはない記号で、一番近い似た記号として&を選んで移しました。
&という記号を使って、この詩を暗号化された何か秘密の文章のようにみせています。
それから、言葉遊びをしていて、
du bist drum kleid ich dich in Worte
ein &
お前がそれ故に衣装であるように、わたしはお前を言葉の衣装を
着せ&
とある、kleidは、名詞としても使い、kleidの後の主語に対してはeinkleidenという動詞としても使っています。
最後の一行、
die ist nackt & doch geteilt
am schoensten
真理は裸であり&しかし分かれているからだ
最も美しい姿をして
という一行は、全くその通りだと思います。
真理がこの地上に、この世の中に現れる姿は、断片的であらざるを得ません。それは、時間の中に現れるから。そうして、この一次元の世界に現れざるを得ないから。
これは、この詩人の至った、言葉についての真理を歌ってもいるのです。
従い、言葉の衣装をお前に着せると歌うこの詩人は、実に言語と言葉の本質を認識するに至った詩人であることを示しています。
この詩から、この詩人による言語論があれば、それは間違いなく言語機能論だということがわかります。
即ち、言語、言葉は機能だという認識、これがPUK、通信のセキュリティの暗号だと言っているのです。
こんな、言語と言葉の本質に棲む詩人がドイツの現代にもいたのだ。他の詩も読んでみたいものです。
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