【西東詩集13】Lied und Gebilde(歌と創造物)
【原文】
Lied und Gebilde
Mag der Grieche seinen Thon
Zu Gestalten druecken,
An der eignen Haende Sohn
Steigern sein Entzuecken;
Aber uns ist wonnereich
In den Euphrat greifen,
Und im fluessgen Element
Hin und wider schweifen.
Löscht ich so der Seele Brand,
Lied es wird erschallen;
Schöpft des Dichters reine Hand,
Wasser wird sich ballen.
【散文訳】
歌と創造物
あのギリシャ人が、自分の音を搾(しぼ)って
様々な姿に変えるとならば
自分自身の両手の息子に拠(よ)って
その音の魅了する力も高まることだろう。
しかし、わたしたちには、恵み豊かであるのだ
ユーフラテスの河に手を入れて、それを掴(つか)み
そして、流れる要素の中で
行ったり、来たりと、漂うことが。
わたしが、かくして、魂の興奮の炎を消せば
歌が必ず鳴り響き渡る
詩人の純粋な手が創造すれば
水は、自づと、ふくらんで、その姿を現す。
【解釈】
前のふたつの詩で、苦しんで凌(しの)いだゲーテは、ここで、やはり中東の詩の世界に戻って、その苦しみをユーフラテスの河に漂うことで癒しているようです。
その歌の世界を、ギリシャの歌の世界と比較して、前者をとっています。
An der eignen Haende Sohn
Steigern sein Entzuecken;
自分自身の両手の息子に拠(よ)って
その音の魅了する力も高まることだろう。
とある、両手の息子に拠って、という意味が不明です。
お解りの方は、ご教示下さい。
詩人の純粋な手という表現が、ゲーテの考える、詩人の詩の造形力の在り方を示していると思います。
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