2012年9月15日土曜日

【西東詩集13】Lied und Gebilde(歌と創造物)



【西東詩集13】Lied und Gebilde(歌と創造物)


【原文】

Lied und Gebilde

Mag der Grieche seinen Thon
Zu Gestalten druecken,
An der eignen Haende Sohn
Steigern sein Entzuecken;

Aber uns ist wonnereich
In den Euphrat greifen,
Und im fluessgen Element
Hin und wider schweifen.

Löscht ich so der Seele Brand,
Lied es wird erschallen;
Schöpft des Dichters reine Hand,
Wasser wird sich ballen.



【散文訳】

歌と創造物

あのギリシャ人が、自分の音を搾(しぼ)って
様々な姿に変えるとならば
自分自身の両手の息子に拠(よ)って
その音の魅了する力も高まることだろう。

しかし、わたしたちには、恵み豊かであるのだ
ユーフラテスの河に手を入れて、それを掴(つか)み
そして、流れる要素の中で
行ったり、来たりと、漂うことが。

わたしが、かくして、魂の興奮の炎を消せば
歌が必ず鳴り響き渡る
詩人の純粋な手が創造すれば
水は、自づと、ふくらんで、その姿を現す。


【解釈】

前のふたつの詩で、苦しんで凌(しの)いだゲーテは、ここで、やはり中東の詩の世界に戻って、その苦しみをユーフラテスの河に漂うことで癒しているようです。

その歌の世界を、ギリシャの歌の世界と比較して、前者をとっています。

An der eignen Haende Sohn
Steigern sein Entzuecken;
自分自身の両手の息子に拠(よ)って
その音の魅了する力も高まることだろう。

とある、両手の息子に拠って、という意味が不明です。

お解りの方は、ご教示下さい。

詩人の純粋な手という表現が、ゲーテの考える、詩人の詩の造形力の在り方を示していると思います。

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