2012年9月1日土曜日

【西東詩集12】Zwiespalt(分裂)


【西東詩集12】Zwiespalt(分裂)

【原文】

Zwiespalt

WENN links an Baches Rand
Cupido floetet,
Im Felde rechter Hand
Mavors drommetet,
Da wird dorthin das Ohr
Lieblich gezogen,
Doch um des Liedes Flor
Durch Lärm betrogen.
Nun floetets immer voll
Im Kriegeshunder,
Ich werde rasend, toll -
Ist das ein Wunder?
Fort waechst der Floetenton,
Schall der Posaunen,
Ich irre, rase schon -
Ist das zu staunen?


【散文訳】

分裂

もし左、川の縁(へり)で
キューピッド(愛の神)が笛(フルート)を吹いているならば
右手の野原には
マース(戦の神)がトランペットを吹き鳴らす
そうすると、そこへと、耳は
愛らしくも惹かれて行く
しかし、愛の花咲く周りには
騒擾によって騙されている。
こうして、笛(フルート)の音が、いつも満ちている
戦いの雷鳴の中で
わたしは怒り狂って、気が狂暴になって ー
これは奇蹟なのだろうか?
前へと、笛(フルート)の音が成長し続ける
トランペットの響き
わたしは迷い、既に怒り狂い、暴れ回っている
これは、驚くべきことなのだろうか?


【解釈と鑑賞】

前のLiebliches(愛らしいもの)という詩でも述べましたが、その前の詩とこの詩のゲーテは、何か相当苦しんでいます。

ひとごとのようにもし言ってよければ、前の詩と同様、戦さ(仕事をし、生きる事)と恋愛の間で苦しんでいる。

最後の方にある次の行、


Fort waechst der Floetenton,
Schall der Posaunen,
Ich irre, rase schon -
前へと、笛(フルート)の音が成長し続ける
トランペットの響き
わたしは迷い、既に怒り狂い、暴れ回っている


とある、最後の行、


わたしは迷い、既に怒り狂い、暴れ回っている


と言葉を発し、歌うゲーテは、髪を掻きむしっているように思われる。それほど苦しんでいる。

最後の一行、


これは、驚くべきことなのだろうか?


が、かろうじてゲーテの精神の平衡を維持しているのだと思う。

そうして、この詩に出て来る様々な譬喩(ひゆ)が、やはりゲーテを救っているのだと思われる。そのように歌い、書く事によって。

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