2015年4月12日日曜日

Die Abweisung(拒絶):第16週 by Ida Gerhardt(1905 ー 1997)

Die Abweisung(拒絶):第16週 by  Ida Gerhardt(1905 ー 1997)
 






【原文】

Ich schreibe mit der Rabenfeder,
mein Herr.
Mein Herz, Ihr Herz
Ihre Ehre, meine Ehre
haben nichts gemein.
Ich schreibe mit der Rabenfeder.
Ich schreibe mit der Rabenschwaerze
das Zeichen: Nein.


【散文訳】

私は、烏の羽根で書くのです、
ご主人さま
わたしの心臓、あなたの心臓
あなたの名誉、わたしの名誉
これらは、みな何も卑しいものではありません。
わたしは、烏の羽根で書くのです。
わたしは、烏の黒い色で書くのです
この印を:否。



【解釈と鑑賞】

この詩人の、Wikipediaです。オランダの詩人です。

Wikipedia:http://nl.wikipedia.org/wiki/Ida_Gerhardt


この詩人の写真をふたつ掲げました。

最初のものは、若いときの写真、後のものは、もっと歳をとってからの写真です。

前者は、やはり生硬で、硬い表情で、如何にもこの詩を書きそうな女性ですが、
後者は、そうではない顔つきになっています。

しかし、人間はそう簡単には変わりませんから、それは同じ人間の顔であるのでしょう。

わたしが二つの写真を掲げたのは、やはりこの女性の人生に興味を抱いたからです。何故
この詩を書いたのかということなのです。

このご主人様という呼びかけは、やはり直接本人に言ったのではなく、この女性がこころの中で言った言葉です。

そうして、このご主人さまという相手は、何か自分が部下であるか、召使であるかという場合もあることでしょうが、しかし、自分の父親であることもあるのではないかと思いました。即ち、暴君のような父親です。

しかし、そこから、にもかかわらず、この詩が生まれたということなのです。もし、わたしの推測が正しいのであれば。

詩の生まれる契機と場所は、やはりこのような契機と場所であるのかもしれないと思います。

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