2015年4月29日水曜日

【西東詩集113】BERECHTIGTE MÄNNER(正義の男達)


【西東詩集113】BERECHTIGTE MÄNNER(正義の男達) 


【原文】


BERECHTIGTE MÄNNER
Nach der Schlacht von Beer, unterm Sternenhimmel

                             Mahomet spricht

SEINE Toten mag der Feind betrauern:
Denn sie liegen ohne Wiederkehren;
Unsre Brüder sollt ihr nicht  bedauern:
Denn sie wandeln über jenen Sphären.

Die Planeten haben alle sieben
Die metallnen Tore weit getan,
Und schon klopfen die verklärten Lieben
Paradieses Pforten kühnlich an.

Finden, ungehofft und überglücklich,
Herrlichkeiten, die mein Flug berührt,
Als das Wunderpferd mich augenblicklich
Durch die Himmel alle durchgeführt.

Weisheitsbaum an -baum zypresseragend
Heben Äpfel goldner Zierd’ empor,
Lebensbäume breite Schatten schlagend
Decken Blumensitz und Kräuterflor.

Und nun bringt ein süßer Wind von Osten
Hergeführt die Himmels-Mädchen-Schar;
Mit den Augen fängst du an zu kosten,
Schon der Anblick sättigt ganz und gar.

Forschend stehn sie was du unternähmest?
Grosse Pläne? fährlich blutigen Strauß?
Dass du Held seist sehn sie, weil du kamst;
Welch ein Held du seist? sie forschens aus.

Und sie sehn es bald an deiner Wunden,
Die sich selbst ein Ehrendenkmal schreibt.
Glück und Hoheit alles ist verschwunden,
Nur die Wunde für den Glauben bleibt.

Führen zu Kiosken dich und Lauben,
Säulenreich von buntem Lichtgestein,
Und zum edlen Saft verklärter Trauben
Laden sie mit Nippen freundlich ein.

Jüngling! mehr als Jüngling bist willkommen!
Alle sind wie alle licht und klar;
Hast du Eine dir ans Herz genommen,
Herrin, Freundin ist sie deiner Schar.

Doch die allerherzlichste gefallet sich
Keineswegs in solchen Herrlichkeiten,
Heiter, neidlos, redlich unterhält dich
Von den mannigfaltgen andrer Trefflichkeit.

Eine führt dich zu der andern Schmause,
Den sich jede äußerst ausersnnt;
Viele Frauen hast und Ruh im Hause,
Wert daß man darob das Paradies gewinnt.

Und so schicke dich in diesen Frieden:
Denn du kannst ihn weiter nicht vertauschen;
Solche Mädchen werden nicht ermüden,
Solche Weine werden nicht berauschen.

       *
Und so war das Wenige zu melden
Wie der selge Musulman sich brüstet.
Paradies der Männer Glaubenshelden
Ist hiemit vollkommen ausgerüstet.



【散文訳】

正義の男たち
ビールの戦いの後に、星辰の天の下にて
         
       マホメットは語る

我が死者たちを、敵は悼むがいい
何故なら、この者たちは、再び帰ることなく、横たわっているからだ
我らが兄弟たちを、お前たちは悲しんではならぬ
何故なら、この者たちは、あの数々の圏を超えて、逍遥しているからだ

惑星は、皆七つとも
金属の門を広く開けたのだ
そして、既に、神々しき愛を備えた者たちが
天国の門を、勇敢にも、こつこつと叩いているのだ。

見つけよ、望まずに、そして運に頼らずに
わたしの飛翔が触れる数々の玄妙を
不思議の馬が、わたしを一瞬で
全ての天を通り抜けて、導いた時に触れる。


智慧の木が櫛比して、糸杉のように立ち上がりながら
黄金の装飾の林檎を高く掲げていて
生命の木々は、幅広い影を打ちながら
華の座と薬草の花の盛りを覆っている。

そうして、今や、東から吹く甘い風が、
天の乙女らの一隊をこちらへと連れて来るのだ
眼で見るだけで、お前は享受し始めるのだ
既に、その光景を見れば、全く完璧に飢えを満たすのだ。

探りながら、乙女らは立っている、お前は何を企図しているのか?と
大きな、偉大な計画をか?それとも、血の滴る花束をか?
お前は英雄であると、乙女らは見ている、何故なら、お前は来たからだ
お前はどんな英雄であるのか?と、乙女らは、それを探り証(あか)したいのだ。

そうして、直きに、お前のたくさんの傷を見て、それを知るのだ
自らに栄誉の記念碑を書き誌(しる)している傷をみて。
幸福と高貴とが皆、姿を消してしまっている
信仰のためのただ傷だけが、留まっているのだ。

乙女らは、四阿(あづまや)へと、お前を導くのだ、木陰の道へ
多彩な光の鉱石で出来ている柱の王国へと
そうして、神々しい葡萄の数々の葉の高貴な果汁へと
乙女らは、果汁を啜(すす)って示しながら、親切に招くのだ。


若者よ!若者以上の若者だ、お前は、そのような若者として歓待されるのだ!
皆が皆、光輝き、清澄であるように、在る
お前はお前の胸に、一人の乙女を掻き抱いた
女の主人(あるじ)を、お前の隊の恋人である。

しかし、こころの底から迎える此の乙女は、
決して、そのような栄耀の中にいては満足することなく
明朗に、羨望の念なく、誠真に、お前を歓待するのだ
そのほかの卓越したものたちの中の幾多のものを以って。

一人の乙女が、お前をほかの饗宴へと連れてゆく
それは、どの乙女もが一番苦心をして考え出したものだ
多くの女たちはお前の者なのだから、家の中で休むがよい
そうすれば、それは、それ故に、天国を手にするという其の価値が
あるということなのだから。

そうして、このように、お前を、この平安の中へと送り込め
何故ならば、お前は、その平安をこれ以上何かと取り換えることはなく
そのような乙女らは、疲れさせることはなく
そのような葡萄酒は、陶酔させることがないのだから。
       *
さうして、このやうに、わづかなものが、告げられることになった
どのやうに聖なる回教徒は、胸を張っているのかということについては。
男たちの、信仰の英雄たちの天国は
これにて、完璧に武装されているのだから。


【解釈と鑑賞】

ゲーテの歌う天国は、ほかの詩でもそうですが、酒があり美女がいて、実にいい天国です。

ある詩では、これはこの詩集のもっと前のところに出てきたのではなかったかと思いますが、天国の門を女性の秘所に見立てて、こつこつと男が叩くのだという詩があるほどです。

このような天国ならば、何遍でも喜んで行きたいものです。

この詩は、マホメットが戦のあとで、死者たちを悼み、また敵と味方に向かって話した言葉なのでしょうし、また同時にこの宗祖が、死者たちに、アッラーの神のために命を落とした若者たちに向かっての鎮魂の言葉でもあるのです。

註釈の必要のない詩であると思います。


本文の詩の下から3連目の、

Eine führt dich zu der andern Schmause,
Den sich jede äußerst ausersnnt;
一人の乙女が、お前をほかの饗宴へと連れてゆく
それは、どの乙女もが一番苦心をして考え出したものだ

と訳した二行のzu der andern Schmausederは、demの間違いであると解して、訳し、解釈しました。





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