【西東詩集114】AUSERWAEHLTE FRAUEN(選ばれた女達)
【原文】
FRAUEN sollen nichts verlieren
Reiner Treue ziemt zu hoffen;
Doch wir wissen nur von vieren
Die alldorrt schon eingetroffen.
Erst Suleika, Erdensonne,
Gegen Jussuph ganz Begierde,
Nun, des Paradieses Wonne,
Glänzt sie der Entsagung Zierde.
Dann die Allgebenedeite,
Die den Heiden Heil geboren,
Und, getäuscht, in bittrem Leide,
Sah den Sohn am Kreuz verloren.
Mahoma Gattin auch! sie baute
Wohlfahrt ihm und Herrlichkeiten,
Und empfahl bei Lebenszeiten
Einen Gott und eine Traute.
Kommt Fatima dann, die Holde,
Tochter, Gattin sonder Fehle,
Englisch allerfeinste Seele
In dem Leib von Honiggolde.
Diese finden wir alldorten
Und wer Frauen-Lob gepriesen
Der verdient an ewigen Orten
Lustwandeln wohl mit diesen.
【散文訳】
女達は、何も失ってはいけない
純粋なる誠実を希望するのが穏当なことだ
しかし、わたしたちは、ただ四人について知っているのみだ
何処でも、既にもう、期待した通りに予定通りに、到着し、現れた四人について。
まづ最初には、ズーライカ、地上の太陽が
ユススフに対するに、全くの情欲である其の者が
さては今、天国の恵みが
その恵みは、諦念の飾り(誉れ)ーズーライカーを輝かせている。
次には、すべてを与え続ける女性が
異教徒に、救済を生んだ女性が
そして、騙されて、苦い苦しみの中で
息子が十字架に在って喪われるのを見た其の女性が。
マホメットの妻も同じだ!築いたのだ
巡礼の旅を夫のために、そして素晴らしい事々をも
そして、生きている間の数々の時間にあっては
一つの神と一人の信頼を薦めたのだ。
ファティーナが、次に来る、この優美なる女が
娘であり、過(あやま)たぬ妻であり、
英国生まれの、最も繊細なる魂が
蜂蜜の黄金(こがね)の体の中にあっての。
この四人を、わたしたちは、至るところに見つける
そして、女の誉れを賞賛したものは
永遠の場所にあって
愉楽の逍遥に値するのだ、間違いなく、これらの四人の女性達と一緒に。
【解釈と鑑賞】
中近東の世界に有名な女性達を四人、その名を挙げて、嘗嘆している詩です。
最初のズーライカは、既に何度もこの詩集に登場しているので、説明はよいでしょう。ハーテムの恋人であり、ペルシャの詩人ハーフィスの歌の中に登場する一組の理想の恋人の一人(女性)です。
二人目の女性は、イエス・キリストの母、聖母マリアのことを歌っています。
三人目の女性は、マホメットの年上の妻、成功した富裕な商人の女性、しかしその富を以ってマホメットに尽くした女性を歌っています。
四人目の女性は、ファティーナ、わたしの手元にある詩集の註釈によれば、マホメットの娘であり、アリという男、即ちマホメットに一番近しい友の、最も重要な、マホメットの教えの信奉者の妻です。
かうして、この最後の「天国の巻」を読み始めますと、最初が戦死した勇敢な死者としての若者達、次にこれらの四人の聖なる女性たちを歌い、次に、この女があって、「入場」または「入場の許可」という題の詩をおくことができるのです。
次の詩で、わたしたちは、天国の扉を開けて、その中へと、いよいよ入ることになります。
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