2014年6月21日土曜日

【西東詩集74】 Hatem5


【西東詩集74】 Hatem5


【原文】

DIE schön geschrieben,
Herrlich umgueldeten,
Belaecheltest du,
Die anmasslichen Blätter,
Verziehst mein Prahlen
Von deiner Lieb’ und meinem
Durch dich glücklichen Gelingen,
Verziehst anmutigem Selbstlob.

Selbstlob! Nur dem Neide stinkts,
Wohlgeruch Freuden
Und eignem Schmack!

Freude des Daseins sit gross,
Groesser die Freud’ am Dasein.
Wenn du, Suleika,
Mich ueberschwenglich beglückst,
Deine Leidenschaft mir zuwirfst
Als waers ein Ball,
Dass ich ihn fange,
Dir zurückwerfe
Mein gewidmetes Ich―
Das ist Ein Augenblick!
Und dann reisst mich von dir
Bald der Franke, bald der Armenier.

Aber Tage waehrts,
Jahre dauerte, dass ich neu erschaffe
Tausendfältig deiner Verschwendungen Fülle,
Auftroesle die bunte Schnur meines Glücks,
Gekloeppelt tausendfadig
Von dir, o Suleika.

Hier nun dagegen
Dichtrische Perlen,
Die mir deiner Leidenschaft
Gewaltige Brandung
Warf an des Lebens
Verödeten Strand aus.
Mit spitzen Fingern
Zierlich gelesen,
Durchreiht mit juwelenem
Goldschmuck,
An deinem Busen!
Die Regentropfen Allahs,
Gereift in bescheidener Muschel.


【散文訳】

美しく書かれた
素晴らしく金で象(かたど)られた
僭越な手紙を、お前は笑うことだろうし、
わたしの自慢を大目にみてくれるだろう
お前の愛と、お前のお蔭で幸せな私のこの成就についての自慢を
お前のこころを引こうという私の自画自賛を

自画自賛!それに嫉妬が混じるだけで、臭いは臭く
悦びが混じると、芳香になるが
しかし、自分勝手の趣味となるとどうだ!

今ここにこうして在るということの歓びは、大きい
より大きいのは、今ここにこうして在るということについての歓びだ。
もしお前が、ズーライカよ
わたしを過褒(かほう)なまでに幸せにしてくれ
お前の情熱を私に投げつけてくれるならば
恰もそれが球(ボール)のようであって
わたしがそれを取って
お前に投げ返すというように
私の、お前に捧げたこの私(というボール)を
それこそが、唯一無二の瞬間だ!
そうすると次には、わたしをお前から引き裂くのだ
あるときはフランケン人が、あるときはアルメニア人が。

しかし、日は続き
年月は続き、わたしは新しく創造するのだ
幾千にも重ねて、お前の一杯の放埒を
私の幸福の多彩な紐を解(ほど)くのだ
幾千もの糸になって、お前に編まれながら
おお、ズーライカよ。

さて、こうして、ここで、その見返りに
詩の真珠を
お前の情熱の暴力的な砕け散る波が押し寄せて来て
生命の荒涼たるわたしの岸辺に打ち投げたのだ。
細い指を使って
優美に選ばれて
宝飾の黄金の飾りで以て整えられて
お前の胸にあるとは!
(わたしの詩の真珠は)アッラーの雨の滴(しずく)なのだ
謙虚なる貝殻の中で成熟した。


【解釈と鑑賞】

ゲーテが、何故詩が、この恋愛の中で生まれたのかというその機微を、その秘密を率直に、美しいく激しい譬喩を使って歌った歌といへませう。

最後の連の最後の二行に、それ以前のすべてのこころが凝縮しているように思はれます。

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