2014年3月8日土曜日

【西東詩集60】 Buch Suleika


【西東詩集60】 Buch Suleika


【原文】

Buch Suleika

Ich gedachte in der Nacht
Dass ich den Mond saehe im Schlaf;
Als ich erwachte
Ging unvermutet die Sonne auf.



【散文訳】

ズーライカの巻

わたしは夜に覚えていた
わたしは眠りの中で月をみていると
目覚めた時
思いもかけず、日が登っていたのだ。


【解釈と鑑賞】

この詩は、ズーライカの巻、ズーライカの書の冒頭に掲げられている詩です。

月と太陽、眠りと目覚め、夜と昼という素晴らしいくも簡潔な対照、対比により構成されている詩です。

前者の世界は、その記憶していることが接続法第II式で、後者は既に過去の事実となった過去形で表されております。

この差異が、味わうべき形式の差異でありましょう。従い、その内容である意味もまた、その差異のうちに、味わうべきでありましょう。

こうしてみますと、2行目の従属文の接続法第II式を敢えてとったということが、よく効いています。第3行、第4行もまた、主文にある事実は、太陽の登ったということですが、主客を入れ替えれば、それもまた夢かうつつかということになります。

この淡いに、ハーフィスとズーライカの相聞がなされるのでしょう。





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