2014年3月2日日曜日

【西東詩集59】 An Suleika(ズーライカに寄す)


【西東詩集59】 An Suleika


【原文】

An Suleika

DIR mit Wohlgeruch zu kosen,
Deine Freuden zu erhöhen,
Knospend muessen tausend Rosen
Erst in Gluten untergehn.

Um ein Flaeschen zu besitzen
Das den Ruch auf ewig haelt,
Schlank wie deine Fingerspitzen,
Da bedarf es einer Welt;

Einer Welt von Lebenstrieben,
Die, in ihrer Fülle Drang,
Ahndeten schon Bulbuls Lieben,
Seeleregenden Gesang.

Sollte jene Qual uns quälen,
Da sie unsre Lust vermehrt?
Hat nicht Myriaden Seelen
Timurs Herrschaft aufgezehrt!


【散文訳】

ズーライカに寄す

お前を、芳香を以て愛撫すること
お前の歓びを高めること
そうやって、芽吹いて、芽吹きながら、千の薔薇が
やっと灼熱の中へと沈んで行かなければならない

お前の指先のように、すらりとして
芳香を永遠に保つ
小さな壜を所有するために
それであればこそ、小壜は一つの世界を必要とするのだ

生命に満ちた衝迫の中で
夜啼き鴬の恋心、即ち魂を生動させる歌を
既に予感した生命の駆動するひとつの世界を

もしもあの苦しみがわたしたちを苦しませるならば
その苦しみは、わたしたちの悦びを増大させるのではなかろうか?
数知れない魂を、チムールの支配が食い尽さなかったとは!


【解釈】

ズーライカというハーフィスの恋人に寄せる詩という体裁をとっております。

誰がズーライカに歌いかけるのかといえば、それは、ハーフィスというペルシャの詩人でありましょう。

ゲーテは、この詩人になって、ズーライカに歌を寄せている。

第4連の、あの苦しみとは、恋の苦しみでありましょう。しかし、それは同時に恋の悦びを増大することでもある。

そうして、チムール帝の支配も、そのような幾千、幾万の魂を食尽すことはできなかった。

このように、ズーライカに歌いかけて、この巻はこのように短く終り、次に、ズーライカの巻、相聞歌の書が始まります。

0 件のコメント: