【Eichendorfの詩 48】Die zwei Gesellen(二人の仲間)
【原文】
Die zwei Gesellen
Es zogen zwei rüst'ge Gesellen
Zum erstmal von Haus,
So jubelnd recht in die hellen,
Klingenden, singenden Wellen
Des vollen Frühling hinaus.
Die strebten nach hohen Dingen,
Die wollten, trotz Lust und Schmerz,
Was Rechts in der Welt vollbringen,
Und wem sie vorübergingen,
Dem lachten Sinnen und Herz.―
Der erste, der fand ein Liebchen,
Die Schwieger kauft' Hof und Haus;
Der wiegte gar bald ein Bübchen,
Und sah aus heimlichem Stübchen
Behaglich ins Feld hinaus.
Dem zweiten sangen und logen
Die tausend Stimmen im Grund,
Verlockend' Sirenen, und zogen
Ihn in der buhlenden Wogen
Farbig klingenden Schlund.
Und wie er auftaucht' vom Schlünde,
Da war er müde und alt,
Sein Schifflein das lag im Grunde,
So still war's rings in die Runde,
Und über die Wasser weht's kalt.
Es singen und klingen die Wellen
Des Frühlings wohl über mir;
Und seh ich so kecke Gesellen,
Die Tränen im Auge mir schwellen―
Ach Gott, führ uns liebreich zu dir!
【散文訳】
二人の仲間
二人の強壮な仲間が往くのだった
初めて家を出て
このように歓声を上げながら、まさしく、明るい
響いている、歌っている波の中へと
一杯に満ちている春の波の中へと
二人は高いものを目指して進んだ
二人は、歓喜と苦痛をものともせず
この世界で正しきものを完成させたいと思った
そして、二人の通りかかった人には
感覚とこころとが笑いかけた
一人目は、恋人を見つけて
姑(しゅうとめ)が庭と家を買った
一人目は、じきに一人の坊やを揺り籠であやした
そして、秘密の小部屋の中から
心地ちよく外の野原を見た。
二人目に歌い、嘘をついたのは
根底にある幾千の声であった
誘惑するサイレンたちであった、そして
二人目を、戯れる大波の中へと引き入れた
多彩に響く奈落へと
そして、二人目が奈落から浮かび上がったときには
疲れて、年老いていた
彼の船は、根底に在ったわけだが
かくも四囲は静かであった
そして、海の上を風が冷たく渡っていた。
波が歌い、響く
春の波が、確かにわたしの上で;
そして、わたしはかくも勇敢なこの仲間の
眼に涙が膨れるのを間近かにみる
ああ神よ、私達を愛情豊かにあなたの所へと導き賜え!
【解釈と鑑賞】
この詩を読むと、一人目も二人目も、これらの若者達は、詩人アイヒェンドルフの分身であるかのように思われます。
即ち「秘密の小部屋の中から/心地ちよく外の野原を見」るというこの本当にbehaglich(心地よい)という感じのする世界にいるアイヒェンドルフと、サイレンの声に惹かれて「戯れる大波の中へと引き入れた/多彩に響く奈落へと」アイヒェンドルフです。
こころの世界の冒険を生き生きと眼の前に見えるように絵画的に表現する能力がこの詩人の素晴らしい力なのだと思います。この力に、わたしも惹かれて、延々と幾百か幾千かこれからある筈の詩をこうしてこつこつと訳しているのでしょう。
ここまでで48の詩を訳し、この時点で、この詩集の全体の14%を訳したに過ぎません。
この詩に歌われた若者達のように、神を信じて訳し続けることに致します。
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