2013年11月10日日曜日

【西東詩集53-4】 Buch des Unmuts(不満の書)

【西東詩集53-4】 Buch des Unmuts(不満の書)


【原文】

ÜBERMACHT, ihr könnt es spueren,
Ist nicht aus der Welt zu bannen;
Mir gefällt zu konversieren
Mit Gescheiten, mit Tyrannen.

Da die dummen eingeengten
Immerfort am staerksten pochten,
Und die Halben, die Beschraenkten
Gar zu gern uns unterjochten,

Hab' ich mich für frei erkläret,
Von den Narren, von den Weisen,
Diese bleiben ungestoeret,
Jene möchten sich zerreissen.

Denken, in Gewalt und Liebe
Müssten wir zuletzt uns gatten,
Machen mir die Sonne trübe
Und erhitzen mir den Schatten.

Hafis und Ulrich Hutten
Mussten ganz bestimmt sich rüsten
Gegen braun- und blaue Kutten;
Meine gehen wie andre Christen.

》Aber nenn uns doch die Feinde!《
Niemand soll sie unterscheiden:
Denn ich hab' in der Gemeinde
Schon genug daran zu leiden.



【散文訳】

お前達は感じることができるだろう
強大な力(軍勢)を世界から、禁じて締め出すことができないことを
わたしは、会話をすることが好きだ
聡明なる人々と、暴君達と。

愚かに狭い所に生きる者たちが
いつも、一番強く叩いたものだから、
そして、中途半端な者達や、限界のある者達が
わたしたちを、おまけにやり過ぎて圧制したものだから

わたしは、自分が自由であると宣言したのだ
愚者達から、賢者達から
後者は、邪魔されないままでいるものだし
前者は、自分を引き裂きたいと思っているのだ。

考えてもみるがいい、暴力と愛の中で
わたしたちは、遂には媾合せずにはいられないのだし
わたしには太陽を曇らせずにはいられないのだし
そして、わたしには影を熱くせずにはいられないのだ。

ハーフィスとウールリッヒ•フッテンならば
全く間違いなく装備を整え、武装することだろう
茶色と青色のカトリックの僧衣に反抗して;
わたしの僧衣は、他のキリスト教徒と同様に征(ゆ)くのだ。

》しかし、呼べるものなら、わたしたちを敵と呼んでみるがいい!《
だれも敵を見分けることをしてはならないのだ:
何故ならば、わたしは、この共同体にあっては
既にもう充分に、そのことに苦しまなければならないからだから。


【解釈】

含蓄のある詩です。

暴力と愛の中で
わたしたちは、遂には媾合せずにはいられない

とあるのは、本当にその通りだと思います。

ウールリッヒ•フッテンという人は、騎士であって、当時のカソリックのあり方に叛旗を翻した者のようです。


ウールリッヒ•フッテンのWikipediaです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ウルリヒ・フォン・フッテン

最後の連は、世俗に生きながら、そのことに距離を措く苦しみが歌われています。

》Aber nenn uns doch die Feinde!《

のdochが、如何にも効いています。

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