【西東詩集79】 Maedchen
【原文】
Singst du schon Suleika wieder!
Diese können wir nicht leiden,
Nicht um dich―um deine Lieder
Wollen, müssen wir sie neiden.
Denn, wenn sie auch garstig wäre,
Machst du sie zum schönsten Wesen,
Und so haben wir von Dschemil
Und Boteinah viel gelesen.
Aber eben weil wir hübsch sind
Möchten wir auch gern gemalt sein,
Und wenn du es billig machest,
Sollst du auch recht hübsch bezahlt sein.
【散文訳】
娘達
ズーライカのことを、さあ、また歌いなさい!
この女(ズーライカ)が、わたしたちは嫌いでなのです
お前(ハーテム)についてではなく、お前の歌については
わたしたちは、ズーライカに嫉妬したいし、嫉妬せずにはゐられないのです。
といふのも、ズーライカが仮に野卑で無作法であるとすれば
お前は、ズーライカを最も美しいものとなすだろうから
そして、そのやうに、わたしたちは、ドゥシェミールや
ボータイナーの本から多くのことを学んだのだから。
しかし、わたしたちが美しいといふまさにその理由によって
わたしたちは、実際よろこんで絵に描かれたいと思ってゐるのだし、
そして、もしお前が、(美しく描くということを)正しく行へば
お前は、実際正に美しく(美を描いた代償として)対価を支払われるべきものなのだ。
【解釈と鑑賞】
この詩は、ハーテム(老詩人たるゲーテ)を囲む美しい娘達の歌ふ詩です。
ズーライカの美しさと、いやといふよりも、それほどに美しくしてしまふハーテムの技量に嫉妬した娘達の歌です。
しかし、最後の連では、ズーライカを美しく歌い、対価をもらふことを、自分たちの美の故に、ハーテムにゆるしてをります。
女性のこころを歌った歌といふことになりませう。
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