29_Aqua(水):第29週 by Wolfgang Hilbig
【原文】
Ach der ganze Garten überschwemmt vom Mond ―
und Schwaerme von Fischen am Weg
wie Federn leicht wie zuckende Klingen aus Licht.
Sie kennen sich aus sie kennen den Trost
der Gemeinsamkeit.
Und die weissen Hortensien bluehn die ganze Nacht―
noch wenn der Mond in seinen Abgrund steigt
leuchten sie weiter: wie Phosphor weiss und grün
und Wassergeister
Wenn die Fische durch den Zaun entfliehn
haben endlich Heimstatt hier in diesem Bluehn.
【散文訳】
ああ、庭全体が、月によって水びたしになっている
そして、道端には、魚の群れが
羽根のやうに軽く、光の中から産まれて来るひくひく動く刃物のやうに
これらのものは、自分自身を知り尽くし、共通の慰めを知っている。
そして、白い紫陽花が夜中咲いてゐる
月がその深淵に昇るならば尚
紫陽花は、更にもっと光を発してゐる、燐のやうに白く緑に
そして、水の精たちがゐるのだ
もし魚たちが柵を通って逃げるならば
遂には、故郷をここ、この紫陽花の盛りの中に定めるならば
【解釈と鑑賞】
この詩人のことを書いたWikipediaです。
ドイツの詩人です。
この詩の要の言葉は、庭、道端、このふたつです。母屋ではなく庭であり、道ではなく道端であるといふことが、そのままこの詩人と詩の本質を言ひ当ててをります。
叙情詩と呼ぶことのできる詩です。
上のふたつの場所に、夜と月の光とがあり、その中に魚の群れがあり、紫陽花の群れがある。
さうして、最後に魚と紫陽花の関係が歌はれるのです。
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