2014年7月5日土曜日

【西東詩集76】 Suleika


【西東詩集76】 Suleika


【原文】

VOLK und Knecht und Ueberwinder
Sie gestehn zu jeder Zeit,
Hoeschstes Glück der Erdenkinder
Sei nur die Persönlichkeit.

Jedes Leben sei zu fuehren
Wenn man sich nicht selbst vermisst,
Alles koenne man verlieren
Wenn man bliebe was man ist.


【散文訳】

国民も、騎士の従臣も、征服者も
みな、いつも、かう告白する
地上の子供(人間)の最高の幸福は
ただ、その人格にあるのだ、と。

どの人生も導かれねばならない
ひとが自分では測り損ない、則(のり)を越えるならば
総ての物事を、ひとは失ひかねない
もし、そのひと自身が今ある人間に留まるのであれば。



【解釈と鑑賞】

これまでのハーテムの長い歌に対して、ズーライカが短く答えます。

いはば、大きく歌った男のハーテムに対して、小さくその男子の人格に焦点を当てた返歌です。

最後の1行には、人間は努力するものだといふゲーテの考へが現れてゐます。本当に、自分の分を守ることが難しい。

0 件のコメント: