【Eichendorfの詩74】Tafellied(食卓歌) 6
6. Der alte Held(老英雄)
ゲーテの1831年の誕生日に合わせた食卓歌
【原文】
》Ich habe gewagt und gesungen,
Da die Welt noch stumm lag und bleich,
Ich habe den Bann bezwungen,
Der die schöne Braut hielt umschlungen,
Ich habe erobert das Reich.
Ich habe geforscht und ergründet
Und tat es euch treulich kund:
Was das Leben dunkel verkündet,
Die Heilige Schrift, die entzündet
Der Herr in der Seelen Grund.
Wie rauschen nun Wälder und Quellen
Und singen vom ewigen Port:
Schon seh ich Morgenrot schwellen,
Und ihr dort, ihr jungen Gesellen,
Fahrt immer immerfort!《
Und so, wenn es still geworden,
Schaut er vom Turm bei Nacht
Und segnet den Saengerorden,
Der an den bluehenden Borden
Das schöne Reich bewacht,
Dort hat er nach Lust und Streiten
Das Panner aufgestellt,
Und die auf dem Strome der Zeiten
Am Felsen voruebergleiten,
Sie grüßen den alten Held.
【散文訳】
》わたしは勇敢に試み、そして歌った
といふのも、世界がまだ沈黙してあり、そして蒼白であつたからだ
わたしは束縛を圧服し、支配した
美しい花嫁に抱きついて、捉へた束縛を
わたしは王国を征服したのだ。
わたしは探求し、根底を極めた
そして、忠実にそれを君たちに公にして告げた
神聖なる文書(聖書)に火をつけて、燃やすのだ
この英雄は、魂の根底で。
さてかうして、森という森、泉という泉が、さやけき音を立て
そして、永遠の港(避難場所)について歌ふや
既にわたしは朝焼けが膨れ上がつて行くのを見る
そして、君たちはそこで、君たち若者たちは
いつまでも、いつまでも限りなく(舟に乗って)行くのだ!《
そして、このやうに、いつも静かになると
英雄は、塔の上から、夜に、眺めて
そして、歌ひ手たちの結社を祝福する
花を盛りの道の辺(へ)に
美しい王国を衛(まも)つてゐるその結社を。
そこに、英雄は、気ままに、そして、戦いの果てに
軍旗を立てたのだ
そして、時代の流れ(河)に乗って
岩の傍を滑りゆくものたちは
この老いたる英雄に挨拶をするのだ。
【解釈と鑑賞】
ゲーテの82歳の誕生日に合わせてつくった食卓歌です。
ゲーテの誕生日を祝ふひとびとがゲーテを訪れ、お祝ひの席で、言つてみれば、アイヒェンドルフがその座の中に立って歌った食卓の歌といふことになるでせう。
最後の連の軍旗とは、変わらぬもの印(しるし)でありませう。
0 件のコメント:
コメントを投稿