【Eichendorfの詩 35】Wandernder Dichter (旅する詩人)
【原文】
Wandernder Dichter
Ich weiss nicht, was das sagen will!
Kaum tret ich von der Schwelle still,
Gleich schwingt sich eine Lerche auf
Und jubiliert durchs Blau vorauf.
Das Gras ringsum, die Blumen gar
Stehen mit Juwelen und Perln im Haar,
Die schlanken Pappeln, Busch und Saat
Verneigen sich im größten Staat.
Als Bot voraus das Bächlein eilt,
Und wo der Wind die Wipfel teilt,
Die Au verstohlen nach mir schaut,
Als waer sie meine liebe Braut.
Ja, komm ich mued ins Nachtquartier,
Die Nachtigall noch vor der Tür
Mir Ständchen bringt, Glühwürmchen bald
Illuminieren rings den Wald.
Umsonst! das ist nun einmal so,
Kein Dichter reist inkognito,
Der lust'ge Fruehling merkt es gleicht,
Wer Koenig ist in seinem Reich.
【散文訳】
旅する詩人
それが何を言いたいのか、わたしにはわからない!
閾(しきい)を跨いで静かに外に出るや
直ちに、一羽の雲雀(ひばり)が雲雀上がり
そして、青色の中を通って、上へ上へと歓声をあげて飛んで行くのだ
廻りの草も、花々も
髪に宝石と真珠をつけて、立っている
細いポプラや、灌木や、種子が
最も豪華な衣装をつけて、お辞儀をしている。
使者として露払いをしながら、小川は急ぎ
そして、風は梢を分け
水郷はこっそりとわたしを見遣る
恰もわたしの花嫁であるかの如くに
そうだ、わたしは疲れて夜営に入る
夜啼き鶯がまだ門の前にいて
わたしにセレナーデを運んで来、土蛍(つちぼたる)がじきに
廻りの森を輝かせる。
無駄なことさ!それはもうそうなっているのだから
どんな詩人も隠れて旅することはないのだ
陽気な春が直ぐに気付くのだ
誰がその王国の中で王であるのかを
【解釈と鑑賞】
一人称の話者が、詩人という設定です。
その詩人が旅立つために、家の閾を跨いで外に出るところから詩が始まります。
第3連の使者は、詩人がこれから来るぞという露払いの役をしているという意味でしょう。
最後の連の王国を支配しているのは、春とも読めるし、詩人である王自身とも読むことができます。敢えて、それと訳しました。
アイヒェンドルフ色満載の詩です。
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