2013年7月20日土曜日

【西東詩集47-7】 無題7



【西東詩集47-7】 無題7


【原文】

WIE ich so ehrlich war
Hab' ich gefehlt,
Und habe jahrelang
Mich durchgequaelt;
Ich galt und galt auch nicht,
Was sollt es heissen?
Nun wollt ich Schelm sein,
Tate mich befleissen;
Das wollt mir gar nicht ein,
Musst mich zerreissen.
Da dacht ich: ehrlich sein
Ist doch das Beste,
War es nur kümmerlich
So steht es feste.


【散文訳】

わたしは、このように率直な人間であったし、
それほどに、わたしは足りない人間で
そして、そのことが、長年に亘って
わたしを苦しめて来た。
わたしは、役に立ち、そして、また役に立たなかったが、
それは何を意味しているのだろうか?
さて今となっては、わたしは悪漢になってやろうか
そうすれば、わたしは物事に汲々とした人間になるだろう
それは、わたしの相容れるところではないだろうし
それをすれば、わたしが四分五裂してしまうに違いない
そこで、わたしは考えた:率直であることが
なんといっても一番良いことだ、と、
ただただ苦しかったということならば、
それは間違いのないことなのだ、と。


【解釈】

この詩から、次の連としての詩、その次の詩、またその次の詩と、連想として連続性がある詩が並んでいます。

ゲーテのこころの中では、これらは、勿論いままで訳して来たしもすべて、一連なりに連なっているのだと思います。

それをすれば、わたしが四分五裂してしまうに違いない

と訳した「違いない」のドイツ語は、musstですが、これをmuesstの意味と解して、そう訳しました。もし誤りであれば、ご教示下さい。

謙虚なゲーテの姿です。わたしもかくありたい。

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