2012年12月20日木曜日

【Eichendorfの詩 17-4】Der verliebte Reisende (恋する旅人)


【Eichendorfの詩 17-4】Der verliebte Reisende (恋する旅人) 

【原文】

                       4

Ach Liebchen, dich liess ich zuruecke,
Mein liebes, herziges Kind,
Da lauern viel Menschen voll Tücke,
Die sind dir so feindlich gesinnt.

Die möchten so gerne zerstören
Auf Erden das schöne Fest
Ach, könnte das Lieben aufhören,
So mögen sie nehmen den Rest.

Und alle die gruenen Orte,
Wo wir gegangen im Wald,
Die sind nun wohl anders geworden,
Da ist's nun so still und kalt.

Da sind nun am kalten Himmel
Viel tausend Sterne gestellt,
Es scheint ihr goldnes Gewimmel
Weit uebers beschneite Feld.

Mein' Seele ist so bekommen,
Die Gassen sind leer und tot,
Da hab ich die Laute genommen
Und singe in meiner Not.

Ach, waer ich im stillen Hafen!
Kalte Winde am Fenster gehen,
Schlaf ruhig, mein Liebchen, schlafe,
Treu' Liebe wird ewig bestehn!

【散文訳】

                    4

ああ、愛する人よ、お前をわたしは後に残して来た
わたしの愛する、愛らしい子供よ
そこには、多くの人間たちが、たくさんの奸計を以て待ち伏せている
彼らは、お前にかくも敵意を持っているのだ

彼らは、かくもよろこんで破壊したいのだ
地上で最も美しい祭りを
ああ、愛することが止むなどということがあり得るのであれば
彼らは、その残りをとればいいのだ。

そして、わたしたちが森の中を歩いた
すべての緑の場所が
今や確かに別のものになった
そこは、今はかくも静かで、寒い。

そこには、今は、冷たい天に
幾千という星々が配置されていて
その黄金の群れは
遥か、雪の積もった野原の上を覆っているようだ。

わたしの魂は、このようにして得られた
小路は、空虚で、死んでいる
そこでは、わたしはラウテをとって
そして、わたしの苦難の中で歌った。

ああ、わたしが静かな港の中にいるならばいいのに!
窓辺を冷たい風が行く
静かに、そのまま眠れよ、わたしの愛する人よ、眠れよ
誠実な愛が永遠にありますように!


【解釈と鑑賞】

歌う旅人は、その途上で愛する女性とわかれ、その女性をおいてきたのです。

そうして、その女性の身の上を思い、案じている歌です。

Ach, könnte das Lieben aufhören,
So mögen sie nehmen den Rest.
ああ、愛することが止むなどということがあり得るのであれば
彼らは、その残りをとればいいのだ。

とある意味は、有り得ないが、もし愛するという人間の行為が止むことがあるのであれば、その後の愛する事のないところ、その残余、残り滓(かす)を、そういう奸知にたけた輩どもはとるがいいのだという意味です。お前達に、愛するなどという尊い行為をゆるすものか、という意味です。

ラウテは、古典的なマンドリンに似た形の弦楽器です。アイヒェンドルフの詩にはよく出て来る楽器です。

ことさらに難しい註釈を必要とする詩ではありません。この歌の情調を味わうことで、十分な鑑賞になると思います。

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