2012年12月1日土曜日

【西東詩集24】 Unbegrenzt(無限の:限りなき)



【西東詩集24】 Unbegrenzt(無限の:限りなき)


【原文】

Unbegrenzt

DASS du nicht enden kannst das macht dich gross,
Und dass du nie beginnst das ist dein Los.
Dein Lied ist drehend wie das Sterngewölbe,
Anfang und Ende immerfort dasselbe,
Und was die Mitte bring ist offenbar
das was zu Ende bleibt und anfangs war.

Du bist der Freuden echte Dichterquelle,
Und ungezählt entfliesst dir Well auf Welle.
Zum Küssen stets bereiter Mund,
Ein Brustgesang der lieblich fliesset,
Zum Trinken stets gereizter Schlund,
Ein gutes Herz das sich ergiesset.

Und mag die ganze Welt versinken,
Haffs, mit dir, mit dir allein
Will ich wetteifern! Lust und Pein
Sei uns, den Zwillingen, gemein!
Wie du zu lieben und zu trinken
Das soll mein Stolz, mein Leben sein.

Nun toene, Lied, mit eignem Feuer!
Denn du bist älter, du bist neuer.


   
【散文訳】

無限の(限りなき)

お前が終わることのできないということ、それがお前を偉大にし、
そして、お前が決して始められないということ、それはお前の運命だ。
お前の歌は廻転している、星辰の天蓋のように
始めと終わりは、いつも同じで
そして、真ん中のもたらすものは、明らかであり
それは、終わりに留まるものであり、始めにあったものだ。

お前は、歓びの、詩人の本物の源泉であり
そして、お前から幾らでも限りなく波また波が溢れ出て来る
口づけをするため、絶えず広い唇であり
胸から湧く歌であり、それは愛らしく流れい出て
飲むために、絶えず刺戟される喉であり
自らを注ぐよき心臓である。

そして、全世界が沈むとも
ハーフィスよ、お前と共に、お前と共にだけ
わたしは競いたいのだ!歓びと苦しみは
われらにあれ、この双子のもとに、一緒に
お前のように愛し、そして酒を飲むこと
それは、わたしの誇りであり、わたしの人生であるべきものだ。

さて、鳴り響けよ、歌よ、独自の炎を以て
何故なら、お前はより古く、お前はより新しいからだ。


【解釈】

法律家達への非難の3つの詩から転じて、全く対蹠的な存在である詩人、ハーフィスをここでは歌い、褒め称えています。

このこころは、読むととてもよく解り、そのまま読者に伝わって参ります。

そして、全世界が沈むとも
ハーフィスよ、お前と共に、お前と共にだけ
わたしは競いたいのだ!

という連は、ゲーテがこの詩人を知った喜びが溢れています。

題名のunbegrenztとは、制限されないという意味です。詩人は何ものにも制限され、掣肘され、制約されることがない。

そのような詩人の典型としてハーフィスがいるのです。

今迄の詩を読んで来ても、ゲーテはハーフィスを知る事で、窒息しそうな現実の中で、あるいはそれから逃避をして、息を吹き返し、詩作に向かうことができたのだということが、よくわかります。


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