【西東詩集26】 Offenbar Geheimnis(公然の秘密)
【原文】
Offenbar Geheimnis
SIE haben dich, heiliger Haffs,
Die mystische Zunge genannt,
Und haben, die Wortgelehrten,
Den Wert des Wortes nichts erkannt.
Mystisch heissest du ihnen,
Weil sie Närrisches bei dir denken,
Und ihren unlautern Wein
In deinem Namen verschenken.
Du aber bist mystisch rein,
Weil sie dich nicht verstehn,
Der du, ohne fromm zu sein, selig bist!
Das wollen sie dir nicht zugestehn.
【散文訳】
公然の秘密
あいつ等は、お前を、ハーフィスよ、
神秘的な舌と呼び、
そして、そのくせ、その言葉の学徒どもは、
言葉の価値を認識していなかったのだ。
神秘的だと、お前は、奴らの間では呼ばれる
何故ならば、奴らはお前を馬鹿だと思っているからであり
そして、奴らの不純な、全く純粋ではない酒を
お前の名前の中に注いで、小売りするからだ。
お前は、しかし、神秘的に純粋なのだ
何故ならば、奴らがお前を理解しないが故に
お前、敬虔であることなくして、神聖であるお前よ!
このことを、奴らは決してお前には認めようとしないのだ。
【解釈】
題名の訳は、公然の秘密としましたが、しかし、形容詞であるoffenbar、公然のという言葉が変化しておらず、原形のままですので、秘密は公然たり、とか、公然たるものこそ秘密なのだという訳の方が正しいかも知れません。このような事情を知った上で、簡潔な、説明的ではない言葉の方を敢えて選んだということです。
ハーフィスと、世俗、通俗の学者たちを対比させて、前者の優れていることを歌った詩です。
真に優れた者に、通り一遍の名前をレッテルとして貼って、自分の恐れの感情と、本来表すべき尊敬の念を隠して、それらをないものとし、また知らないものとなすのは、世の通俗のものたちの常です。たとえ、どんなにその社会的な地位が見かけ上高かろうとも。
ハーフィスが「神秘的に純粋なのだ」という形容に、ゲーテの心が宿っています。そうして、そのことを真に知る者が誠に少なく、公然の秘密であるということの、この題名の中に。
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