【西東詩集27】 Wink(合図)
【原文】
Wink
UND doch haben sie recht die ich schelte:
Denn dass ein Wort nicht einfach gelte
Das müsste sich wohl von selbst verstehen.
Das Wort ist ein Fächer! Zwischen den Stäben
Blicken ein Paar schöne Augen hervor.
Der Fächer ist nur ein lieblicher Flor,
Er verdeckt mir zwar Gesicht,
Aber das Mädchen verbirgt er nicht,
Weil das Schönste was sie besitzt,
Das Auge, mir ins Auge blitzt.
【散文訳】
合図
そう、しかし、わたしが非難する奴らは正しいのだ。
何故ならば、ひとつの言葉は簡単には通用しないということ
これは、確かに自明のことに違いないから。
言葉というものは、ひとつの扇なのだ!扇の骨の間から
ふたつの美しい眼が覗く。
扇は、愛らしい、満開の花であり
それは、わたしの顔を、成る程隠すが
しかし、娘を隠すことはしない。
何故ならば、娘の所有する最も美しいもの、即ち
眼が、わたしの眼の中へと煌めくからだ。
【解釈】
「それ(扇)は、わたしの顔を、成る程隠すが」と訳したところは、「それ(扇)は、わたしから、娘の顔を隠すが」と訳すことができます。その方がよいかも知れません。そうすると、
それ(扇)は、わたしから、娘の顔を隠すが
しかし、娘そのものを隠すことはない
という意味になります。
第1行目の「奴ら」は、前の数篇の詩の内容を承けていて、世間の法律家ども、詩を理解しない輩ということでしょう。
こうしてみますと、次の詩は、ハーフィスに寄すという題の詩ですが(これがこの巻最後の詩です)、この小さな詩は、次の詩へのはじまりと、更に次の巻、即ち愛の巻への橋渡しとなる詩という性格を持っています。
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