2012年11月10日土曜日

【Eichendorfの詩 16】Dyrander mit der Komoediantenbande (喜劇役者一座を引き連れたドリアンダー)


【Eichendorfの詩 16】Dyrander mit der Komoediantenbande (喜劇役者一座を引き連れたドリアンダー) 

【原文】

Dyrander mit der Komoediantenbande 
  
Mich brennt's an meinen Reiseschuhn,
Fort mit der Zeit zu schreiten -
Was wollen wir agieren nun
Vor so viel klugen Leuten?

Es hebt das Dach sich von dem Haus
Und die Kulissen ruehren
Und Strecken sich zum Himmel 'raus,
Strom, Waelder musizieren!

Und aus den Wolken langt es sacht,
Stellt alles durcheinander,
Wie sich's kein Autor hat gedacht:
Volk, Fürsten und Dryander.

Da gehen die einen müde fort,
Die andern nahn behände,
Das alte Stueck, man spielt's so fort
Und kriegt es nie zu Ende.

Und keiner kennt den letzten Akt
Von allen, die da spielen,
Nur der da droben schlaegt den Takt,
Weiss, wo das hin will zielen.


【散文訳】

喜劇役者一座を引き連れたドリアンダー

わたしの旅の靴に火が着くのだ
時間とともに勢い良く行進することを思えば
さて、わたしたちは何を演じたらよいのだ
かくも聡明なる人々を前にして?

弦楽器の響板(屋根)が家の上に出ていて
そして、舞台の書き割りは楽器を奏で
そして、天に延びている
河、森という森が音楽を奏でている!

そして、それが、雲の中から、優しく手を伸ばし
何もかも混乱させる
どんな劇作者も考えなかったように、即ち
民衆も、君主も、そしてドリアンダーも。

すると、ある者たちは疲れて行ってしまい
他の者たちは敏捷に近づき
古い台本、それをかくもどんどんと演じて行き
そして、終わることが決してない。

そして、だれも最後の幕を知らず
そこでそうやって演じている者たち全てのうち
ただ、あの上の方で拍子を打っている者だけが
どこにそれが向かおうとしているのかを知っている。


【解釈と鑑賞】

ドリアンダーとは、人の名前のようですが、これが一体如何なる人物なのか不明です。

この詩の中から推測する以外にはありません。

ドリアンだーは、喜劇役者の一座を引き連れていて、旅廻りの劇を見せて歩く。

そうして、その行く所、いつも楽の音が鳴っている。自然が音楽を奏でている。ここは全くアイヒェンドルフの世界であり、舞台です。

この世界は、どうも旅役者の演ずる舞台なのであり、だれもその台本の終わりを知らない。あの高いところで拍子を打っている者だけが、その向かう方向を知っている。

そのような、一寸大仰な言い方をすれば、世界認識が、このアイヒェンドルフの詩だということになります。






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