2012年11月10日土曜日

第47週: Der Winter by Muhammad al-Ghuzzi (1949 - )




第47週: Der Winter by Muhammad al-Ghuzzi (1949 -  ) 

【原文】

Der Winter

Nachts, wenn Winter ist,
Kehrt die Schwester in unser Heim zurück
Und flicht die Nacht ihrer Zoephfe,
Ziert sie mit der Brosche ihres Silbers
Und kehrt dann zum Abhang am Flussbett zurück

Nachts, wenn Winter ist,
Kehrt die Schwester in unser Heim zurück,
Sieht, dass die Nachbarstochter Brüste bekommen hat,
Dass die Kinder herangewachsen sind
Und dass wir unseren ersten Hof verlassen haben.

Nachts, wenn Winter ist,
Kehrt die Schwester in unser Heim zurück
Bettet mich auf das Wasser ihrer Flechten,
Und sobald der Hahn schreit,
Wachsen ihr Flügel,
Und sie kehrt mit feuchten Augen ins Totenreich zurück,
Nachts, wenn Winter ist ...


【散文訳】


夜に、そうして冬であれば
姉妹たちは、わたしたちの故郷に戻って来て
そして、その髪の房の夜を編み
その銀のブローチで、その夜を飾り
そして、それが終わると、川床にある傾斜へと帰って行く

夜に、そうして冬であれば
姉妹達は、わたしたちの故郷に帰って来て
隣人の娘が、胸のふくらんだことを知り
子供達が大きくなったのを知り
そして、わたしたちが、わたしたちの最初の庭を立ち去ったことを知る

夜に、そうして冬であれば
姉妹達は、わたしたちの故郷に帰って来て
わたしに、お下げ髪の水に寝かしつけ
そして、雄鶏が啼(な)くや否や
その翼が成長し
そして、姉妹達は、濡れた眼をして、死者の王国の中へと帰って行く
夜に、そうして冬であれば …


【解釈と鑑賞】

今週は、アラビア世界の現代詩人です。

どうもインターネットには、残念ながら、この詩人のことを書いたサイトがありません。

作中に歌われている庭という場所には、何か深い意味があるものと思います。この詩人の他の詩を読むと、もっとよく解る事でしょう。

夜、冬、死者の国、その国から冬の夜にやって来て、この世で見るものを見て、また死者の国へ帰って行く姉妹達。

その髪の房の夜を編み
その銀のブローチで、その夜を飾り

とあるところを読むと、この姉妹達は、夜の化身であり、夜の化身の姉妹であるようです。

この詩がアラビアの詩人であるということから、アラビアの詩の伝統の中に、何かを担っている詩であることは間違いがありません。

確かに、アラビアの、ペルシャの詩という感じがします。

わたしたちは、このイスラムの言語圏の詩をもっと読むべきではないでしょうか。深く、今の日本の詩の忘れた宝が埋蔵されているように思います。それは、他方、ゲーテの西東詩集を読みながら思うことでもあるのですけれども。



0 件のコメント: