【Eichendorfの詩 15】Vor der Stadt (町の外で)
【原文】
Vor der Stadt
Zwei Musikanten ziehen daher
Vom Wald aus weiter Ferne,
Der eine ist verliebt gar sehr,
Der andre waer es gerne.
Die stehn allhier im kalten Wind
Und singen schön und geigen:
Ob nicht ein Süßverträumtes Kind
Am Fenster sich wollt zeigen?
【散文訳】
町の外で
ふたりの音楽家が、こちらへとやって来る
ずっと遠いところから外へ、森の中から
ひとりは非常に惚れ込むほどに熱中していて
もうひとりはそうだといってよいだろう。
ふたりは、全くここ、冷たい風の中に立って
そして、美しく歌を歌い、ヴァイオンを演奏する、つまり、
甘く夢見られた子供は
窓辺にわざわざ姿を現そうとしないのであろうか?
【解釈と鑑賞】
これは、実に短い詩ですが、一体何を言っているのでしょうか。
登場人物は、いつものアイヒェンドルフらしく、音楽家です。
そのふたりが森の中から出て来るというのも、アイヒェンドルフ好みです。
第1連の最後の2行は、その様子が何故そうなのかの言葉がないので、不明なところがありますが、しかし、演奏することに惚れていると理解することにしましょう。
外気が寒くて風が吹いていても、それに負けずに、美しい演奏をし、歌を歌うというのは、これまでのアイヒェンドルフの詩でもおなじみの光景であり、モチーフです。
そうすると、この詩の眼目は、第2連の最後の2行だということになるでしょう。
歌を歌い、ヴァイオリンを奏でるのは、甘く夢見られた子供が窓辺に姿を現すがためであるのです。
窓辺というのは、アイヒェンドルフの詩では、いつも何か美女が姿を現しているか、この世にはない美しさのある、或は居る場所です。
この場合には、子供であるというところが、いつもと違っています。しかし、それは、甘く夢見られた子供であって、現実の子供ではない。
この子供が何なのか、これから後の詩を読みながら考えて参りたいと思います。
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