Fussnote zu Rom(ローマについての脚註):第35週 by Guenter Eich(1907ー1972)
【原文】
Fussnote zu Rom
Ich werfe keine Münzen in den Brunnen,
Ich will nicht wiederkommen.
Zuviel Abendland,
verdaechtig.
Zuviel Welt ausgespart.
Keine Möglichkeit
fuer Steingaerten.
【散文訳】
ローマについての脚註
わたしは、泉の中に小銭は投げ入れない
わたしは、二度と戻って来ることはない
余りに多くのヨーロッパ
怪しく、胡散臭い
余りに多くの世界が、省略されている
全く可能性がない
石庭にとっては
【解釈と鑑賞】
この詩人のことを書いたWikipediaです。
ドイツの詩人です。
第一行の泉は、ローマにある有名なトレビの泉のことでしょう。そこに小銭を投げ入れると、またローマに戻って来ることができるという言い伝えがあるのでしょう。
しかし、この詩人は、それは余りに過剰なヨーロッパであるといい、怪しく、胡散臭いというのです。旋毛(つむじ)曲がりの詩人です。
石庭と訳した庭は、アルプスの山を模してつくる岩山と植物の庭のことと辞書にはあり、その写真を掲げます。ヨーロッパの庭作りのひとつの形式なのでしょう。
やはり、この詩人も詩人であるのは、庭ということを言うからです。ここが詩人の棲む世界なのです。
母屋というprimaryな場所ではなく、その附属であるような庭というsecondaryな場所、これが言語で織物を編む人間の棲む場所なのです。
そのための場所がないと、素っ気なく歌っております。
その言葉を脚註としたのも、この詩人の庭に対する感覚(センス)に通じております。本文ではなく、意義は脚註にあり、と。
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