2014年8月30日土曜日

【Eichendorfの詩80】Spruch(金言)


Eichendorfの詩80Spruch(金言) 
  

【原文】

Bau nur auf Weltgunst recht
Und pass auf jeden Wink und Gruss,
Wirst dabei nimmer fröhlich werden!
Es hat’s kein Hund so schlecht,
Der hinter seinen Herren muss,
Nicht frei spazieren kann auf Erden.


【散文訳】

世間の好意の上にのみ、正しく、建てよ
そして、どの合図にも挨拶にも注意を払え
その際には、決して陽気になってはいけない!
自分の主人たちの後ろにいなければならないという
犬ほど
地上を自由に散歩できない犬ほど、
哀れなことはないからだ。


【解釈と鑑賞】

世間を渡るための世俗の智慧を皮肉った詩です。

その詩の題名に金言、箴言、格言とつけた詩人の胸中や如何に。

第1行目の建てよという命令形の目的語が敢えてないのは、そのこころを暗に示しているのではないでしょうか。

敢えて、その目的語を言うならば、詩人としての物事を、とか、或いは全く逆に、世俗の人間として生きるための物事をということもあり得ます。

いづれにせよ、決して陽気になってはいけない!という第三行目のものの言い方は、いつも陽気である詩人を歌うアイヒェンドルフのこころとは、全く逆の、それを否定する一行ですから、この一行からこの詩の皮肉を考えることができます。


0 件のコメント: