2014年8月23日土曜日

【Eichendorfの詩79】Dichterlos(詩人無しで)


Eichendorfの詩79Dichterlos(詩人無しで) 
  

【原文】

Fuer alle muss vor Freuden
Mein treues Herze gluehn,
Für alle muss ich leiden,
Fuer alle muss ich bluehn,
Und wenn die Blüten Früchte haben,
Da haben sie mich längst begraben.


【散文訳】

すべての人々のために、数々の喜びの余り
わたしの忠実な心は輝かずにはいられない
すべての人々のために、わたしは苦しまずにはいられない
すべての人々のために、わたしは花咲かずにはいられない
そして、もし盛りのその花々が、果実をつけるのであれば
それこそ、花々が、わたしを長い事、埋葬し、隠して来たということなのだ。


【解釈と鑑賞】

最後の一行に、詩人の思いがあることでしょう。

この詩の題名を何故アイヒェンドルフは、dichterlos、詩人の居ない状態という題名を付けたのでしょうか。

この題名は、あるいは、この詩に歌われたように、詩人自身の逆説を思って名付けられたのではないかと思います。

つまり、詩人が花咲く、即ち優れた詩を書く為には、長い事地中に埋葬され、言わば死者の様に隠れていなければならないという逆説を。








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