2014年4月19日土曜日

【Eichendorfの詩 63】Morgenlied(朝の歌)

【Eichendorfの詩 63】Morgenlied(朝の歌)

【原文】

Morgenlied

Ein Stern still nach dem andern fällt
Tief in des Himmels Kluft,
Schon zucken Strahlen durch die Welt,
Ich wittre Morgenluft.

In Qualmen steigt und sinkt das Tal;
Verödet noch vom Fest
Liegt still der weite Freudensaal,
Und tot noch alle Gaest.

Da hebt die Sonne aus dem Meer
Eratmend ihren Lauf;
Zur Erde geht, was feucht und schwer,
Was klar, zu ihr hinauf.

Hebt grüner Wälder Trieb und Macht
Neurauschend in die Luft,
Zieht hinten Städte, eitel Pracht,
Blau Berge durch den Duft.

Spannt aus die grünen Teppiche weich,
Von Stroemen hell durchrankt,
Und schallend glänzt das frische Reich,
So weit das Auge langt.

Der Mensch nun aus der tiefen Welt
Der Träume tritt heraus,
Freut sich, dass alles noch so hält,
Dass noch das Spiel nicht aus.

Und nun geht’s an ein Fleissigsein!
Umsumsend Berg und Tal
Agieret lustig gross und klein
Den Plunder allzumal.

Die Sonne steiget einsam auf,
Ernst über Lust und Weh
Lenkt sie den ungestoerten Lauf
Zu stiller Glorie.―

Und wie er dehnt die Flügel aus,
Und wie er auch sich stellt,
Der Mensch kann nimmermehr hinaus
Aus dieser Narrenwelt.



【散文訳】

朝の歌

ひとつ、またひとつと、星が静かに落ちる
深く、天の峡谷の中へと
既に、光線は世界を貫いて、震動している
わたしは、朝の空気を、その気配を感ずる。

朦々(もうもう)たる煙雲のなかに、谷は立ち昇り、そして、沈む
祝祭によって、なほ荒涼となって
広い歓喜の大広間は、静かにあり
そして、すべての客は、まだ死んだままだ。

すると、太陽が海の中から昇る
その軌道を呼吸しながら;
湿ったもの、重いものは、大地へと向かい
清澄なものは、太陽へと昇り行くのだ。

緑なす森という森は、衝迫と力を
新たにささめきながら、空気の中へと揚げ
町々の背後で、虚栄の華美を引き
青い山々を、その芳香の中を引いて行く。

緑なす絨毯の中から、柔らかく広がり渡り
河の流れに明るくからみつかれて
そして、響きを立てながら、新鮮な王国が輝いている
眼の届く限り。

人間は、夢々の深い世界から、こうして
歩き出て
すべてが、まだかくも堪えてあることに歓び
まだその遊戯が終っていないことに喜ぶのだ。

そして、こうして今度は、一種勤勉であることが肝心だという話になるのだ!
大騒ぎをしながら、山と谷が
陽気に、大きくなり小さくなりして、
同時に、ばか騒ぎの振る舞いをする。

太陽は、孤独に昇り
真剣に、陽気と悲嘆を通って
邪魔されることのない軌道を操縦して
静かな栄光へと向かうのだ。

そして、その軌道が、両の翼を一杯にひろげるにつれ
そして、その軌道が、実際軌道に載ったにつれて
人間は、もはや出ることができないのだ
この愚か者の世界からは、決して。


【解釈と鑑賞】

朝の様子を歌うアイヒェンドルフの言葉は、いつも素晴らしいものがあります。

この詩も、その言葉によって織られた絨毯でありませう。


最後の一行の、愚者の世界から人間は抜け出せぬというこの一行が、この詩人のこころの一面をあらわしていると思はれます。

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