2015年7月26日日曜日

Landnahme(不法占拠):第27週 by Hans-Juergen Heise(1930~2013)


Landnahme(不法占拠):第27週 by Hans-Juergen Heise1930~2013



【原文】


Landnahme

Unter dieser Ulme
würde niemand rasten
Mücken schwirren - der Tümpel
ist bis an die Oberfläche verschlickt

Komm also
leg deine Last ins Gras
wir bleiben hier



【散文訳】

不法占拠

この楡(にれ)の木の下ならば
誰も憩ふことはないだらう
蚊たちがぶんぶんと音を立ててー沼が
表面にまで、泥が来ているから

だから、来いよ
お前の荷物を草むらに置いて
わたしたちは、ここに留まらう。


【解釈と鑑賞】


この詩人は、ドイツの詩人です。

この詩人のWikipedia:


これによれば、第二次世界大戦のドイツで、ドイツ劣勢のために一度ベルリンを離れ、戦後にまた戻つてきてベルリンに住みますが、東西の冷戦のためにベルリンの壁のできるときに、東ベルリンに住むことを選んだ作家です。

その後、政治的な理由で、といふことは、東ドイツの共産党に反旗を翻へしたのでゐられなくなり、当時の西ドイツに亡命したといふことです。

詩と短い散文で著名とあります。

詩の題名のLandnahmeといふドイツ語の意味は、所有権がどうあれ何があれ、勝手に他人の土地に住み着いて、所有を主張することといふ意味です。辞書には載つてゐませんでしたが、Wikipeidaには載つてゐました。


この題とこの詩を読みますと、何か東ドイツという共産主義社会にゐた此の詩人の気持ちがわかるやうに思ひます。

仮令(たとへ)藪蚊がぶんぶん飛んでいようとも、そのやうな楡の木陰の土地を必要としたのです。


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