【Eichendorfの詩123】 Zorn(怒り)1810
【原文】
【原文】
Zorn(怒り)1810
Seh ich im verfallnen, dunkeln
Haus die alten Waffen hangen,
Zornig aus dem roste funkeln,
Wenn der Morgen aufgegangen,
Und den letzten Klang verflogen,
Wo im wilden Zug der Wetter,
Aufs gekreuzte Schwert gebogen,
Einst gehaust des Landes Retter;
Und ein neu Geschlecht von Zwergen
Schwindend um die Felsen klettern,
Frech, wenn’s sonnig auf den Bergen,
Feige krümmend ich in Wettern,
Ihres Heilands Blut und Tränen
Spottend noch einmal verkaufen,
Ohne Klage, Wunsch und Sehnen
In der Zeiten Strom ersaufen;
Denk ich dann, wie du gestanden
Treu, da niemand treu geblieben:
Möcht ich, über unsere Schande
Teifentbrannt in zorn’gem Lieben,
Wurzeln in der Felsen Marke,
Und empor zu Himmelslichten
Stumm anstrebend, wie die starke
Riesentanne, mich aufrichte.
【散文訳】
怒り 1810
わたしは、荒廃し、暗い
家の中で、数々の古い武器が壁にかかつてゐるのをみる
それらの武器が錆(さび)の中から怒つて火花が散つてゐるのをみる
朝が明ける度に
そして、最後の響きが飛んで飛び去つて行くのをみる
天候といふ天候の野生の荒々しい行列の中で
十字型の剣に向かつて身を屈めて
其の国の救世主が嘗(かつ)て住ふてゐた場所で
そして、小人たちの新しい種族が
小さくなりながら岩という岩を巡つて登つて行くのをみる
卑怯にも、山々の上に太陽が射せば其のたびに
臆病にも、わたしは天候といふ天候 の中で背を曲げ、身を屈して
その小人たちの救世主の血と涙を
軽蔑しながらもう一度売るのを見るのだ
嘆かず、願はず、そして憧れず
その血と涙が、数々の時代の河の流れの中で溺れ死ぬのをみるのだ
次に私が思ふのは、お前がさうでゐたやうに
忠実で、といふのは誰も忠実のままではゐなかつたからであるが
わたしは、わたしたちの恥辱を超えて
怒りの愛の中で深く燃えて
岩岩の標(しるし)の中に根を降ろして
さうして、天の光といふ光に向かつて高く
黙々と昇る努力を重ねながら、強い力の
巨大な松や樅の大森林のやうに、わたし自身を垂直に立てたいものだ、とさう思ふのだ。
【解釈と鑑賞】
前回の詩と同様に、題字の横にある1810といふ数字は、やはり1810年に書かれた詩といふ意味でありませう。
この年には何があつたものか。いづれにせよ、この詩にあるやうに、夜の祝祭とともに、続けて、この怒りの詩を歌はねばならなかつた。
あるいは、この詩人が子供の頃より住み慣れた城を手放したときであるのかも知れません。
0 件のコメント:
コメントを投稿