2013年1月28日月曜日

【Eichendorfの詩 19】Auf einer Burg (とある城にて)


【Eichendorfの詩 19】Auf einer Burg (とある城にて) 

【原文】

Auf einer Burg

Eingeschlafen auf der Lauer
Oben ist der alte Ritter;
Drüber gehen Regenschauer,
Und der Wald rauscht durch das Gitter.

Eingewachsen Bart und Haare,
Und versteinert Brust und Krause,
Sitzt er viele hundert Jahre
Oben in der stillen Klause.

Draussen ist es still und friedlich,
Alle sind ins Tal gezogen,
Waldesvoegel eisam singen
In den leeren Fensterbogen.

Eine Hochzeit fährt da unten
Auf dem Rhein im Sonnenscheine,
Musikanten spielen munter,
Und die schöne Braut die weinet.


【散文訳】

Auf einer Burg
とある城にて

待ち伏せし、見張りをしていて、眠り込んでしまった
上に、年老いた騎士がいる
その向こうには、激しい雨降りが行く
そして、森は、格子を通して、さやさやと音を立てている。

髭と髪が、生えるにまかせたままになっている
そして、胸当てと、襞のついた襟が石化している
彼は、何百年も、坐っている
上にある、静かな幽居、房室で

外は、静かで、親しい感じがする
ひとはみな、谷の中へと行っている
森に棲む鳥達は、孤独に歌っている
空虚な窓の上部の弧状の中で

結婚式が、行われている、あの下のところ
太陽の輝きの中の、ライン河で
音楽家達が、陽気に演奏している
そして、美しい花嫁が、泣いている花嫁が


【解釈と鑑賞】

この詩も不思議な詩です。

歌われいる兵士は、どこかの山の上にあるお城の城壁の龕籠(がんろう)のような見張りの狭い空間の中で、敵が来るのを監視している。

そのままの姿勢で、何百年も、そうしている。その兵士の眼にみえる景色を歌っています。

これは、どこかライン河沿いにある古城なのでしょう。

森、そのさやけき音、鳥とその鳴き声、窓、谷、孤独、陽気、結婚式、河、音楽家と演奏、城と騎士、どれもアイヒェンドルフの舞台に出て来る、馴染みの舞台装置です。

装置というには、余りにその意味するところと密接に融合していて、恰もものそのものであるかのように、この詩の中に姿を現しています。

この詩人の言葉は、実に現代的で、古びない。不思議な詩人です。

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