Gedicht mit einer moralischen Tendenz
(道徳的な傾向のある詩)
by Gust Gils
【原文】
solltest du morgens vor dem Spiegel steh’n
und einen Kopf auf deinen Schultern seh’n,
der nicht von dir ist,
dann musst du darueber unverzueglich
dem Einwohnermeldeamt
deiner Gemeinde
Meldung erstatten,
die tun dann wohl das Noetige.
solltest an Stelle des Kopfes du den Koerper
nicht mehr als den von dir erkennen,
dabei helfen sie dir nicht,
“ach, Herr, so werden wir nie fertig”,
recht haben sie ja.
sei also vorsichtig
bei Partnertausch
【散文訳】
もしあなたが朝鏡の前に立って
そして、肩の上に乗っかっている頭を見て、
それが、自分の頭ではないとしたら、
その事態につき、速やかに
あなたの地区の戸籍役場に
報告しなければならない。
そうすれば、必要なることを間違いなくしてくれる。
頭ではなく、体の方が
もはやあなたのものであると認識できない場合には、
彼らは助けようがないし、
「あーあ、あなた、それでは、わたしたちも仕事が全然終わらないのですよ、
それでは、どうしようもありませんよ」
というだけ
確かに奴らのいうことは正しいのさ。
というわけで、
一緒に住む相手(パートナー)を取り替えるに際しては
くれぐれもご注意を
【解釈】
Gunst Gilsは、ベルギーの詩人、アントワープの生まれ。
20 augustus 1924 - 11 november 2002の時間を生きたひとです。
Wikipediaで調べたのですが、これがオランダ語でした。あるいは、ベルギー語なのかも知れません。
ベルギーとかオランダでは殊によく知られた詩人なのでしょう。
Googleで検索すると画像も載っているので、ご興味のある方は御覧ください。
もの静かなひとという感じがします。
とはいえ、これは役人への風刺の詩である。
そればかりではなく、自分自身というか、人間への風刺でもある。
そのような詩になっている。
この詩の解釈は幾つかあると思うが、あなたはどんな解釈をなさるのか。
この詩の呼びかけられている「あなた」は、役所の戸籍係の窓口の役人にHerrと呼ばれていることから、男だということがわかる。
最後の連は、そうすると、男が女の(同居する)パートナーを替えるときにはご注意という理解になる。
頭が違っていると役所は受け付けるが、頭ではなく、体が違っていても、役所は受け付けない。頭さえあればいいのだ。それが、その男がその男だという証明なのだ。
そういえば、証明写真は、どんな証明写真であれ、いつも、確かに顔、頭だけです。
体の証明写真など、撮ってみたらさぞおもしろいだろうに、そんな写真は、役所は必要としない。
確かに、このことを思うと、おかしい。ユーモラスである。風刺の毒もちょっぴり入っている。
でも、何故、「一緒に住む相手(パートナーの女性)を取り替えるに際しては/くれぐれもご注意を」なのだろうか。
上の論理から来ると、女である相手も別の男の体を求めて、あなたと呼ばれる男をその居住していると思っている家から追い出し、或いは、自分だと思っている男の頭は同一でも、体を別の好きな男の体と入れ替えてしまうからだろうか。
どうも、ここは謎の多い一行です。
どなたか、このような消息に通じている方、お教えください。
詩の題名も、こうしてみると、不道徳を歌っているので、反語的になっているのかと思うが、詩人がこれを反語的と思っているか、相手を取り替えることが不道徳と思っていないか、一寸わかりかねる、つかみかねるところがあります。
どちらの解釈も、ありかも知れません。
最後の連は、原文に忠実ならむとして、一緒に住む相手と訳したけれども、主人公が男なので、女を取り替えるときには要注意、と訳した方がすっきりしてよいかも知れない。
それから、「その事態につき、速やかに/あなたの地区の戸籍役場に/報告しなければならない。」というところは、ドイツ語は、役人言葉、役人の官庁言葉の文体を真似ていて、それがそのまま役人への風刺になっています。なるたけ、それがわかるように訳したつもりです。
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